952話 怒ってる理由が分からなくて……っ！！ ページ22
噛み付いたりやり返したり賑やかな彼等だが、Aは未だに銃兎と理鶯が不満に思っているところがイマイチ分かっていなかった。なので1人だけあわあわと誰に助けを求めるべきか悩んでいる
『ああああの…っ！わ、私なんかが、弁当、作ったらダメでした…！？』
自己評価が元々低かった彼女からすると、この答えに行き着くのは必然なのかもしれない。だからか、その答えはより彼等を怒らせる事に気付いていない
ブクロ兄弟が、あっ……と思った頃には銃兎は怖い程に綺麗な笑みを、理鶯は冷たく感じる程に無の表情となっていた
｢Aさん？｣
『ヒェ！？は、はいっ！！』
圧が詰まった呼び声に、丁度自身の所にボールが転がってきた二郎は空気を読んでボールを止めた。そして頑張れ、と念じながら僅かに頷く
事の発端は左馬刻とAが、丁度彼等が居ない時に約束してしまった事が原因なのだが、左馬刻は助けるどころか背を向けて煙草を吸っていた。一郎達も助けたい気持ちはあるがどうしようもないと苦笑い
終わった……と悟ったAにゆっくりと恐怖を与えながら近づく銃兎と理鶯。逃げる事は許されない
｢Aさん……何故貴女はそんな言い方しか出来ないんですか｣
｢小官は言った筈だが？“なんか”という言葉は嫌いだと｣
『だだだだって…ッ！！お2人が怒ってる理由が分からなくて……っ！！』
｢そうか……分かってくれないのか｣
｢悲しいですねぇ。私達に内緒でそんな約束をしていたなんて、折角なら私達にも一声あっていいと思うんですが……｣
ここで漸く怒ってる理由が分かったA。ウルウルとしていた目が大きく広がり、夕焼けのオレンジ色の光をキラキラと反射させた
『えと……あの……』
申し訳なさそうに眉を下げる彼女はとても純粋である。モジモジと手を触りながら緊張する姿に、2人は意地悪し過ぎたなと微笑。表情を変え、穏やかなモノへとなった
｢ふふっ、分かっていますよ。昨日はゴタゴタしていましたからね。それでですが、私達にも弁当を頼みたいんです｣
｢小官も貴女の作る弁当に興味がある。是非作って欲しい｣
『っわ、分かりました！！此方こそ何も声を掛けなくてすみません……！！あ、でも弁当箱が1つしかなくて……』
｢帰り買いに行きましょうか。近くの店に良いのがあるでしょう｣
明らかに機嫌が良くなった2人。左馬刻はやれやれと呆れ、一郎達は羨ましいと思う反面、執着心がスゲェ……と少し引いていた
953話 真似してはいけませんからね！→←951話 大人げない、素直じゃない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：刹那 | 作成日時：2023年7月29日 8時
