946話 加わらないのか? ページ16
「脳筋のテメェはシュートコースも単調だな!!」
「ンだとゴラァッ!!たまたま止めただけで調子乗りやがってよォッ!!」
「なら次で決めてやるよ左馬刻!!」
「ほざいてろクソダボが!!」
盛り上がるリーダー2人。迫力は殴り合いのソレと同等であるが、やってる事は1本交代でキッカーとキーパーをしている。つまりクルクル仲良く回りながら罵声を飛ばし合っているのである
何ともシュールな光景。銃兎は口元を押さえて震え、Aと二郎はどっちが勝つのかとワクワク少年少女の眼差しで彼らを見ていた
「やっぱ兄ちゃんが勝つんだろうな!だって俺とよく練習してるし!!」
『左馬刻さんだって負けてませんよ!!ボールではありませんが人とか物はよく蹴ってますし!!』
「ぶふっ、んん゙失礼。………Aさん、それは理由になってます?」
『雑誌で見た事ありますけど、中々に綺麗なフォームで人蹴ってましたよ?ボールよりも重い物を蹴り飛ばしてますし、威力は凄い筈です!!』
「そ、それなら兄ちゃんだって俺らがチンピラに絡まれた時、何処からともなく現れてカッコよく蹴り飛ばしてんぞ!!」
『ホントですか!!凄いですね!!』
「くっ、ふふふ、貴女達の会話って面白いですね。色んな意味で」
「あ゙ぁ!?何笑ってやがんだよ入間ッ!!」
────本来は相容れない筈。なのに喋るどころかサッカーをし、それを笑いながら見て、同じ時を過ごしている。
不思議にも拒絶反応は起こらない。寧ろ平和で楽しそうだ。
兄と左馬刻の間に何があったのかは知らない。でもそれよりも前はあんな風に言い合いながら過ごしてたのかな……。三郎は複雑な感情を抱きながら目を細める
「隣失礼する」
「っ、本当に失礼だから座らないでよ」
目の前に集中していた三郎は横に座るまで理鶯の存在に気付かなかった。声とベンチから伝わった振動で苛立ちを隠さずに顔を彼へ向ける
すると先程の言葉が聞こえていなかったかのように理鶯は、三郎の表情と真反対の穏やかな笑みを浮かべていた
「少年はあの中に加わらないのか?」
「少年って止めてよ。僕には三郎って名前があるんだぞ」
「これはすまない。では山田三郎、もう一度聞こう。兄2人は彼処に行っているが、貴殿は良いのか?」
「別に。僕は動くのが嫌いだから。ていうか、何で来たんだよ」
気に食わない。そう三郎は睨み返しても、目の前の軍人はただ微笑みを深めるだけだった
947話 ビックリするじゃないか!!→←945話 楽しそうなら何よりです……。
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時