945話 楽しそうなら何よりです……。 ページ15
「オラ一郎ォッ!!テメェのシュートはンなモンかよ!!次男の方が威力あるぞ!!」
「はぁ!?キーパーに慣れてないテメェの為に優しく蹴ったんだよ感謝しやがれ!!」
「ンな優しさ要らねぇわ!!さっさと本気を見せやがれドグソ野郎が!!」
「上等だァッ!!顔面にぶつけて泣くんじゃねぇぞ左馬刻ィ!!」
「誰が泣くか一郎ォッ!!」
─────たった1人ベンチに残された三郎は呟いた。
「馬鹿だろ……」
何度目か数えるのを止めた遠い目で騒ぐ連中を見る。最初は左馬刻と銃兎がPK戦なるものをしていた。普段サッカーをしない2人ではあるが、何方も威力のあるシュートをしたりナイスセーブをしたりで決着は着かなかった
そして理鶯達3人は少し離れて応援──というより野次を飛ばして盛り上がっていた
するとあまりの皆のはしゃぎ具合に隣に居た兄が吹き出した。それを見逃す左馬刻では無く、即座に反応して「何笑ってやがるドクソ野郎!!!」から始まる暴言の嵐。
ポンポンと吐かれる暴言に三郎はホント野蛮だな……と呆れ、一郎もイラッとはしたがいつもの事だと軽い返事だけした
しかし。
「次男がずっとサッカーしてんのにテメェは休憩か!!?可哀想になァ!内心一緒にやりたそうにしてんのに気付かねぇでふんぞり返りやがってよォッ!!」
「んだとッ!!!」
弟を話題に出されれば反応せざるを得ない。それだけは許せないのだ。勢いよく立ち上がり、隣で三男がビクッと反応しているのにも気付かず怒鳴り声で返した
「見てみろよお前の弟!!お前がいつこっちに来るかソワソワしてんだぞ!!」
「はぁ!?なななな何言ってんだよ!!そんな事おお思ってねぇし!!?はぁ!?」
「くっ、素直過ぎるぞ二郎……!!そんなところも可愛いな……!!───じゃねぇ、そんな事思ってたのに気付かなくて悪いな二郎!!!お兄ちゃん今そっちに行くが、先ずはこの教育に悪いヤクザを一発点取ってからになる!!待っててくれ!!!」
「う、うんっ!!」
「誰から点取るってェ……?」
「テメェだよ年がら年中アロハ!!!」
「ぶっ殺す」
─────という経緯で現在に至る。
もうこれは考えるのは不毛だ。彼等は血の気が多かった。それでしか証明できない
いつの間にか銃兎はこの戦いから離脱し、二郎達に加わって野次を飛ばしている。尊敬してる兄が楽しそうなら何よりだ。そう三郎は溜息を吐く
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時