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943話 懐かしいあの人。嫌いなアイツ。 ページ13

運動神経がいい、そして練習している又は鍛えている3人は疲れ知らずでずーっとサッカーをし続けている。最初こそ遠い目で見ていた三郎も楽しそうな3人を見ているうちに穏やかな表情になっていた

いつ両サイドの男共が喧嘩するか神経を尖らせていた銃兎もいつの間にか意識が前に向き頬笑みを浮かべていた


それは一郎と左馬刻も同様である


「楽しそうなツラしやがって……」

「二郎もあんなに笑っちまってな……」


ふと一郎は上半身を前のめりにして二郎達をよく見ようとしてると見せかけ、左馬刻の顔を盗み見た

呆れるように言ってる割に優しい表情。緩く細められる赤い双眸は彼にとって懐かしいモノだった



強引なのに面倒見が良くて頼りになる人。
凄く慕っていたし、あの人も俺の事を気にかけてくれていた。身を呈して護ってくれた。なのにあの日からは見下すような目、憎悪に満ちた態度。真逆だ。理由も分からない。ただ一言える事は、信じてたのに裏切られた


────そう一郎は胸を締め付けられる。


それと同時にあの引っ掛かりがより濃くなった

自分は弟を見殺しにしようとしたから憎んでいた。じゃあ左馬刻は?何故自分を殺したい程憎んでいるんだ?
雨の日、碧棺合歓の名前が彼の口から出たが何の事だか全く分からない


「なぁ、左馬と───」

「兄ちゃーん!兄ちゃんもやってみるー!?毒島めっちゃスゲェんだよ!!」

『息切れしないし全部キャッチしてるんですよ!?』

「ほう、今度は貴殿が相手になるか?」


一郎が名前を呼ぼうとした瞬間、サッカーをしていた彼等に呼ばれた。その為に前を見てた3人も一斉に彼に注目した。それは勿論赤い双眸と視線が交わるのは必然で


「あぁ?何見てやがんだよ」

「あぁいや……随分と優しい顔してるなって……」


聞きたい事は全て引っ込み代わりの言葉が口から吐かれる。別に素直に聞けば済む話だ。なのに言えなかった。“それを知ってしまえば今までの行動、感情の意味が醜悪なモノに変わってしまう”、と心のどこかで思ってしまったからだ


そう彼の心の中で葛藤していたと知らない左馬刻は訝しげな表情に変わる


「あ?ンなツラしてたか?」

「無意識かよ……」

「大体Aさんが楽しく過ごしている時はこんな顔ですよ。今では当たり前ですね」

「はぁ!?何言ってやがンだ銃兎ッ!!」


顔を赤くして銃兎の胸倉を掴む左馬刻。そんな姿も、簓さんともそんな感じで喋っていたよな……と一郎はぼんやり眺めていた

944話 毒島サンは強ェな……→←942話 何故こうなった。何故座ってる。



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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時

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