926話 チームメイトに共有してやろう ページ46
短くなった煙草を灰皿に押し潰し、少し開けていた窓を全開にする。透明な壁が無くなり生ぬるい風が俺様の肌を撫でた
こんな温度じゃ、アイツら汗かいてんだろうな……。なんて考えながらスマホのレンズをアイツらに合わせる
ピロン、と録画開始を知らせる音が鳴る。確認した後自分の声が入らねぇように息を潜め、その時が来るのを待った
次男は｢じゃあ行くぞA！｣と手を上げながら合図を出し、Aも手を上げて応える
｢そぅらっ！！｣
サッカー好きなんだろう次男の蹴りはいつ見ても同じく綺麗な弧を描きAへ飛んでいく。素人目でも完璧に見えるコースに対し、Aは怒りで顔を歪ませボール目掛けて突っ込んでいく
『ハゲ課長めぇ……！！お前の方が何倍も根暗で最低でクソ野郎じゃぁぁあああッ！！！』
｢グフォッ！！！？｣
｢二郎！！！｣
｢二郎！！？｣
『ぎゃあああ二郎さぁぁあん！！！？』
｢ブフォハハハハ！！アイツ最高だわッ！ギャハハハッ！！！｣
目の前で起きた珍事。憎しみを込めたAの足は見事ボールに命中。しかしボールはゴールでは無く次男の方へと一直線。ソイツの腹にAの全力が詰まったボールがめり込み、良い音を立てて空高く舞い上がった
笑える声を上げて仰け反りそのまま後ろに倒れた次男。直ぐにAと一郎と三男が駆け寄る姿が、笑いでブレブレな俺のスマホに収められた
｢ヒィッ、ヒィッ、はははははっ！！！｣
良いモン見れたわ。Aの悪口も面白ぇし、吹っ飛ぶ次男も笑える。後で銃兎と理鶯に送ろ。いや、これはとっとくか。これぐらいの面白ぇモンだったら、何かしらの等価交換で使えそうだわ
それより呼び出すか。この後も面白ぇ事起こりそうだし、心優しい俺様はこんな笑えるのをチームメイトに共有してやろう
録画を終わらせた俺はそのままスマホを操作し、先ずは銃兎に電話を掛けた。ウサちゃんは仕事中だが、俺からの電話なら直ぐに出る。呼び出し音が3回鳴るまでに繋がった
《俺だ》
｢よぉ銃兎。今からイケブクロに来い面白ぇの見れンぞ｣
《はぁ？お前、俺が仕事中だって事知っての発言かそれは》
｢うるせぇ。今Aとガキ共がサッカーしてんだよ。笑えんぞ｣
いつも俺の要求に対してはキレるか渋々受け入れるかの二択だが、Aが絡んでいるからだろう少し悩む様に唸った。単純だわ、と思わず笑いが出る
｢ははっ、まぁ来る気になったら来いや｣
《チッ、さっさとその場所教えろ》
927話 遅いとかは無いんじゃないか？→←925話 救えねぇヤツだからこそ、救われた
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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん！応援ありがとうございます！これからも楽しんで頂けるよう頑張ります！ (7月8日 17時) (
レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、！応援しています！ (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年6月4日 10時
