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885話 とある舎弟 ページ5

怒りに震えていた銃兎は、落ち着かせる様に溜息を吐くと話題を変えた


「理鶯……勝手に貴方の力も借りると言ってしまいましたが良かったですか?その取り引きは今夜行われるのですが……」

「そうだったのか。だが問題ない。ならば後でAに遅くなると連絡しないとな。念の為に夜ご飯の分も作っておいて正解だった」

「貴方の用意周到さは流石ですよ」

「しかし昼ご飯で全て食べられている可能性がある」

「食い意地は無い、と言っていましたし大丈夫でしょう」

「そうだったな…」


何とか気分を持ち堪えさせようと無理やり微笑ましい話にした2人だが、その甲斐も虚しく悲愴感に駆られてしまった。再び2人の間に重い空気が漂う

ヤクの取り引きは問題では無い。多少時間が掛かれど制圧出来ない程弱い訳ではないのだから。問題なのは左馬刻だ。あの様子ではAに会ってくれない可能性しか無い
2人としても左馬刻とAが再び笑い合える様にしたかった。どうすればいいのかと頭を悩ませた






───そんな2人の横を、とある1人の舎弟が通り過ぎる。






その人物は、他の舎弟と比べて妙に落ち着いている。まるで此処の状態を知らないかの様に。それに加え、鋏と霧吹きという珍妙な小道具を持ち進んでいく。その先は左馬刻が居る部屋しか無い。つまりあの部屋に入るという事

このまま左馬刻と会えば殺され兼ねない。流石に銃兎はそこまで薄情ではないので、その舎弟の方へ振り返り呼び止める事にした


「あの、今の左馬刻に会うと危険ですよ。命が大事なら関わらない方をお勧めします」


身を案じての発言だったが、その舎弟は静かに立ち止まり2人へ振り返った。肝が座っているのか、微笑みを浮かべていた舎弟。その顔にどこか見覚えがあると銃兎と理鶯は引っかかりを感じた


「お気遣い感謝します。ですが私は、自分の命よりもカシラの方が大事なんです。カシラがいなければ、私は妹に何もしてあげられなかったので」


では、と軽い会釈をした舎弟──廉貞は再び左馬刻の居る部屋へ向かった。妹というワードでやっと思い出した2人は苦笑いを浮かべ、遠くなる背中を見送る


「………やれやれ、今回ばかりはあの方に祈らないといけない様です」

「小官達は二度もあの人物に頼ってしまっているな」

「そうですね。ここ火貂組では無く、警察として来て欲しい人材ですよ」

「ふっ、確かにあの冷静さと度胸は中々に無い。良き軍人になれるだろう」

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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時

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