917話 送られてきた動画 ページ37
『ちょっと消してくださいよぉ!!』
「消すわけねぇだろうが。消したけりゃ力ずくで奪ってみやがれ」
ぴょんぴょん、と一生懸命左馬刻からスマホを奪おうとするAだが、そう簡単に奪えるモノではない。自分の身長よりも断然高い所へスマホを上げられ、届く訳がないのに無駄に体力と時間を使っているだけである
そして左馬刻の嫌がらせはこれだけでは済まない
「あっ、悪ィ。手が滑っちまって銃兎と理鶯に送っちまったわ」
『いやぁああ!!なんと言う事をするんですか!!送信削除ッ!!送信削除ぉ!!』
「ハハッ、お前が跳ねてるせいだろうが。つかもう既読付いてっから遅せぇよ」
『ぎゃあああ!!』
何と微笑ましいやり取りを目の前でしているのか。話に置いてかれた3人は、ただ眺め口元を押さえていた
すると、左馬刻のスマホが音を鳴らしてメッセージが来た事を知らせる。しかも2回。これはもしかしなくても彼等からの返信が来たのだ。絶対馬鹿にする文が送られてきたに違いない。Aは表情を引き攣らせた
しかしその予想は少し違っていたようで。
「お、アイツらからもう来たのかよ。…………ふはっ、」
『え、ちょっと何が来たんです!?』
「動画だな。しかもお前関連のな」
『えぇ!!?』
取られない様に高い所から動画を再生した左馬刻。取る事を諦めたAは、顔を上げてこれから再生される動画を逃げずに見る事にした
《A、本当に大丈夫か?》
《はい!毎日鍛えてますからこのくらい……!!》
まず流れた動画は森の中で薪を大量に持ったAの後ろ姿。フラフラと薪の重さに負けて歩く姿は不安を煽られる。そんな状況で聞こえるのはAと理鶯の声。
心配の言葉をかけてる割には撮っていたのか……。この結末を知ってるAは遠い目をした
《うんっしょ、よいっしょ、》
事務所には必死なAの声のみ聞こえる。一郎達も気になり耳を澄ませているからだ
《A、そこは雨に濡れたせいで滑りやすい。一旦半分を置いて進んだ方が──》
《よいっ、しょぉおおおわぁあああああ゙ー!!!》
《ふふっ、》
動画はここで止まった
『いや最後理鶯さん笑ってましたよね!!?』
「ハハッ、お前なんつー声出してんだよっ。お、理鶯から追加のメッセージ来てるわ。────ぶはっ、“子供のはじめてのおつかいみたいで微笑ましかったぞ”だってよっ、」
『馬鹿にしてますよね!!?』
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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時