915話 争うつもりはないです! ページ35
「ただいま兄ちゃ───ってえぇ!?左馬刻!!!?えぇぇ!!Aも!!?」
「煩いな低脳!!左馬刻がここに来るわけ──えぇぇぇ!!?」
ダンダンダン、といつもの様に慌ただしく走りながらやって来た二郎。最初“客と話をしている兄”としか視界に映っておらず、元気よく言った二郎だが、直ぐにその客の正体が分かれば絶叫した。一緒に帰って来てた三郎も、最初こそ呆れるように言っていたものの直ぐ兄と同じ声を仲良く上げた
「ガキ共“様”か“さん”をつけろ。ったく……兄が兄なら弟も弟だな。歳上を敬え」
「え、な、え、えぇ!!?何で!!?」
「と、歳上を敬えなんて、は、反社のヤツらに敬う気持ちなんか無いからな!!」
「ハッ、言葉だけは達者だが、ンなビビってちゃ話にならねぇ。歯向かう相手はちゃんと選べガキ。じゃねぇと直ぐに殺されンぞ」
そう口にすればお茶を啜る左馬刻。敵意を向けるどころか興味無いと彼らに一瞥も与えない態度は、三郎のプライドに傷を付けた。怒りで表情を歪ませ、「ふざけるな!!」と声を荒げながらマイクを取り出した三郎に、二郎と一郎は咄嗟に名前を呼んで止めに入った
────しかし、漸く瞥見した左馬刻と息を吸った三郎の間に先に入ったのはAだった
『ストォーップ!!左馬刻さぁーん!なぁんで喧嘩腰なんですかァ!!』
「あぁ゙!?何処がだ!!ただ本当の事を言っただけだろうがァ!!」
『三郎さん!左馬刻さんがすみません!!一旦マイク仕舞いましょ!?ね!!?』
「何で俺様が悪いみたいな言い方してんだよ!!このガキが急にキレただけだろうが!!」
『もうちょい丸くなりましょ!?じゃないと弁当作りませんよ!!作りたいけど!!』
「ンだよその脅し!!作りてぇなら作れや!!」
『銃兎さんと理鶯さんに作りましょうかね!』
「ふざけんな!!俺様だけ省くなダボ!!」
『じゃあ噛み付くのを止めましょう!』
「チッ、噛み付いてねぇだろうが……」
ハイテンポに繰り広げられる2人のやり取り。怒りで直ぐにでもラップをしそうだった三郎も、流石にこれには目を丸くする。ヤクザが弁当一つで大人しくなった。あまりにも異常な光景。というか弁当って……
心当たりしかない二郎と三郎は、丸い目でお互いの顔を見合せた
「じ、二郎、三郎……一応2人は客として来てるからよ……」
『そうです!私達は争うつもりで来てないですから!驚かせてすみません!』
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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時