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884話 下手すぎる嘘 ページ4

カツカツ、と靴音が反響する廊下。怯える舎弟達の目に晒されているが、気にせず通り過ぎていく銃兎と理鶯。その表情はとても暗いモノだった
本来見送りをしなければならなかった舎弟の1人も、先程の激しい怒声と物音で近づく事すら恐怖している


「……申し訳ありません理鶯。貴方がいなければ止まれなかったです……」


そんな中銃兎は理鶯へ顔を向けず、前を見ながら謝罪の言葉を口にした


「いや、此方こそすまなかった。もう少し早く行動に出れば良かったのだが……」


理鶯にしては珍しく歯切れの悪い言い方。思わず彼の顔を見ると、怒りの様な悲しみの様な複雑な心境を表すかの様にその表情は歪んでいた
彼も耐えていたのだ(・・・・・・・)




────“ンなの知るかよッ!!”




「………そんな言葉は聞きたくなかった。()だったとしても、その言葉だけは言って欲しくなかった……」


理鶯のグローブから擦れる音が鳴る。視線を落とせば、拳は強く握り締められ震えていた。冷静沈着の彼でも許せなかった。だが怒りに支配されてしまうのだけはならないと必死に押し殺した。それが暫く動きを見せなかった理由

厳しい戦場で身につけたのであろう己を律する力を全て使った。それがあの何も感じられない無の目の正体。遣る瀬無い気持ちが溢れ出した銃兎はただただ「理鶯……」と名前を呼ぶしか出来ない


「下手だ……下手過ぎるのだ左馬刻……ッ。貴殿が何をしたいのかは分からないが、体を壊し、それでも尚下手な嘘を吐いてまでしなければならない事なのかそれは……!!Aを蔑ろにする言葉を吐いてまで……!!」

「ッ………やはり気付いてましたか」

「……銃兎も気付いていたのだな」

「えぇ、遅いですが冷静になれた辺りに……。───あの馬鹿……!!体がぶっ壊れてる(・・・・・・)クセに無茶してんじゃねェよ……ッ!!!」

「…………もしかするとあの異常な煙もイラつきを抑える為だけでは無く、不調を誤魔化す為もあったのかもしれない。だがあの姿を見ればどれだけ限界が来てたか一目瞭然だ」


理鶯は眉間に深い皺を作り、あの時の左馬刻を思い出す
────白い肌には目立つ隈、普段よりも上下に動く肩、敵意で誤魔化していた虚ろだった目。それは理鶯だったからこそ気付いた異変。
銃兎は反抗してきた手の力がいつもより弱いと、冷静になった時に漸く気付けた


「病人なら病人らしく家で寝てろやあのボンクラ……ッ!!」

885話 とある舎弟→←883話 俺にはそれしかない



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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時

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