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904話 ごめんなさい ページ24

『っ……!!』


彼の言葉が耳に優しく触れる。なのに意味を咀嚼するのに時間が掛かってしまった。Aはその間目を大きく開かせ、左馬刻を静かに見つめ続けた

そして漸く意味が分かった瞬間に顔を横に振って『違います!!』と声を荒げた


『左馬刻さんは悪くありません!!私が謝らないといけないんです!!』


頭を下げる為か、体を起こそうとしたA。しかし左馬刻は力で押さえ叶うことは無かった。何で……!?と青い瞳を向ければ、真剣な光を宿す紅とかち合う

思わずAは固まり、押さえる力のままに最初の姿勢に戻された


「確かにお前は俺に隠れてあのクソダボに会ってた」

『だから私が……』

「でもよ、俺はお前を護る為だってお前の話を聞かずに力でねじ伏せようとした。それどころか───」


左馬刻は静かにAの頭を撫でた。そこはあの日自身がAを振り払った時、ぶつけた場所だった。目を細め、あの日を思い出す。腫れてはいない。そのつもりじゃなかった。しかし危害を加えた事は事実なのだ


「痛かった……だろ?」


左馬刻の声は震えていた。
妹に暴力を振ってしまったあの時から、女と子供には危害を加えないと誓った。それなのに一郎が絡んでいたとはいえ、怒りのまま暴力を振った

弱々しい声、震えている手、涙は出ていないがそのまま流れるのではないか。Aは初めて見る左馬刻の顔を見つめる事しか出来なかった


「俺もクソ親父と変わらねぇ……。暴力でしか何も出来ねぇ。俺といるだけでお前を傷付ける……」


割れ物を触るようにAの頬に優しく触れ、「だから……」と言葉を続けた


「俺はお前と離れて、遠くから護ろうと思った。ヨコハマはクソ虫が沢山いる。安心して外に出れるように……害虫駆除をしてた……」


────それが左馬刻が売人達を必要以上に潰していた理由だ。自分の身を壊しながらでもやり遂げたかった事。嫌ってはいなかった、怒ってはいなかった。全部不器用なりに彼女を護ろうとしていたのだ


『っ……!!さ……ッ、さまとき……さん……ッ!!』


彼の真意を知った瞬間、大粒の涙がAの目から溢れる。そして湧き起こる衝動のままに左馬刻の腹部へ力強く抱き締めた


『私の方こそごめんなさい!!ごめんなさい!!』

「謝んなよ……悪いのは俺だって──」

『私も悪いんです!!ちゃんと話し合わないで私は逃げてたんです!!だから左馬刻さんは自分だけが悪いって思わないで下さい!!』

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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時

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