【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -17章- ナカナオリの仕方

879話 そこまで食い意地は酷くないです！ ページ49

｢───36度5分、ですか……。平熱までに治まりましたね｣

『はい！まだ喉は痛いですけど咳も今のところ出ませんし、大丈夫──けほっけほっ、』

｢体調が良いと言ってはしゃぐのは良くない。病み上がりは免疫力が下がっている状態だ。新たな風邪をひかないように安静にしてくれ｣

『うぅ……了解です…』


次の日の朝。目が覚めると、昨日の怠さが嘘かのように元気になった私。ベットに腰掛け早速体温計で計ってみると平熱に収まったらしい。でも喉は痛いし咳も出るから完全には治ってないらしい


｢ですが症状が治まって安心しました。これならお留守番出来ますね｣

『凄く子供に言う様な言い方ですね……！？』

｢私にとったら風邪をひいた貴女は子供みたいなものですよ｣

『一応これでも私、成人迎えてるらしいですけど！？』

｢ではしっかり休んで早く風邪を治してください。そうして頂ければそれ相応の対応をとります｣

『ぐぬぬ……』


ぽんぽん、と優しく私の頭に乗せられる手。小馬鹿にした様な言い方だが、注がれる視線と声色は慈愛に満ちている。ちぐはぐな行為だし彼の言葉に言い返せなくて、私も悔しさなのか嬉しさなのか分からないくらいに口元がふにゃふにゃ歪んで声を漏らした

私達のやり取りを微笑ましく見守る理鶯さんだったが、直ぐに真剣な面持ちになり私へ視線を合わせる


｢A、これから小官達は左馬刻の事務所へと向かう。ミーティングが終わり次第小官は直ぐに此処に戻る予定だが、場合によっては遅くなる可能性がある｣

『は、はいっ』

｢念の為に3食分の食事は既に用意している。夜まで1人だったとしてもいい子にして待っていられるな？｣

『勿論です！薬も飲み忘れませんし、ご飯もしっかり食べます！あっ！食欲もありますから完食しちゃいますよ！』


安心させたくて笑って言えば、2人はふふっと小さく吹き出す。すると私のお腹が“そうだぞ！”と言いたげに主張をしてきた


ぎゅるる……


なんと情けない音。確かに言ったが、体の主の意思に反してあからさまに鳴らされると顔は直ぐに熱くなる
意味の無い行為だが2人に顔を背けたら、クスクスとわざとらしい笑い声が聞こえ羞恥心を煽ってくる


｢言葉だけではなく音でも主張してくるとは。いやしんぼさんだな｣

｢理鶯の料理は冷蔵庫の中ですから、是非食べてくださいね。あぁ限りはありますから朝に全部食べないで下さいよ？｣

『そこまで食い意地は酷くないです！！』

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