【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -17章- ナカナオリの仕方

876話 甘えてこいって言われましたけど…… ページ46

｢ほらA｣

『んっ、はふはふっ』

｢ふふっ、まだ熱かったか。すまない｣

『ごくんっ、いえ大丈夫ですよ！美味しいです！』

｢ではAさん、こちらをどうぞ｣

『は、はいっ。あむ…っ』

｢美味しいですか？｣

｢はいっ！え、えっと……あ、ありがとうございます……？｣


1回咳をしただけなのに理鶯さんは私の横に自身が座っていた椅子を移動させると、そこに座りずっと卵粥を食べさせてくれている。自分はご飯を食べずに。それに対抗してかそれとも面白半分か、何故か銃兎さんもカットフルーツを食べさせてくれている

……ある程度回復したから自分で食べられるのに……

そう言いたいが、とても楽しそうな笑顔の2人を見ると言葉が引っ込んでしまう。甘えてこいって理鶯さんは言ってくれたけど……ここまで甘えていいモノなのか……


｢銃兎、貴殿はご飯を食べるといい。風邪が治るまで、小官が全力で彼女を甘やかすと決めているのだ。気にせず食べてくれ｣

｢いえいえ私も彼女を甘やかしたいので｣

｢ご飯が冷めてしまうぞ？｣

｢それは貴方にも言える事ですよ？｣


おっと急に不穏な空気になってきたぞ……！？あれ！？2人の間で火花が散ってるんですがァ！？
笑顔ではあるが、謎の圧を放ちお互い見つめ合う2人。何方も譲らない強い意思が感じられる。流石にこのままではマズイと慌てて話の中に割り込む


『あ、あのっ、私は自分で食べれますから気にせず──』

｢A、言っただろう？今の貴女は風邪なのだ。甘えて欲しいと｣

｢風邪で苦しんでいる貴女の代わりになりたいですが、それは出来ませんし、こういう事でしかAさんの為に出来ないんです……。気にしないで下さい｣


ぐぬぬ……！！これは手強い！！
しゅん、と落ち込む表情になってしまった2人だが、これは譲れないぞ……！！凄く罪悪感あるけど！！

何とかこの状況から打破する為、別の手段を取る事にした


『私は、そ、その……み、皆でご飯を食べるのが好きですから……。私ばっかり食べさせて貰ったら、2人が食べてる所見れない……』


圧にめちゃくちゃ負けながら辿たどしく主張すると、2人はぐっ……と揺れ動いてくれた。よし……！！あとひと押しだ！！
そう思い、続けて口を開いた


『理鶯さんいつも言ってるじゃないですか……ご飯は皆で食べるのが楽しくて美味しいって……』


反論が出来ないのか理鶯さんは僅かに口を結ぶ。銃兎さんも表情を険しくし、どうにか言いくるめられないか思案していた

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