【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -17章- ナカナオリの仕方

−■■■話 ページ5

『ハカセ！！血が出てます！！』

｢あ、あー……気にすんな鼻血だ｣

『思いっきり腕から血が出てますが！！？』

｢いやーさっき転けてさぁ、鼻血出たからあわてて腕で拭いちまって。俺ってばうっかりさん｣


ハカセはそうおちゃらけて呑気に笑ってる
でも流石に分かった。痛みに耐える為に出来る眉間の皺、引き攣る笑顔。今の話は全て嘘だと

嘘をつく理由が分からずにハカセを見ていると、彼は目を大きくして吹き出した


｢あっはは、Aは俺を心配してくれているのか？｣

『しん……ぱい？』

｢相手の為に心を痛める事だ｣

『相手の……為』

｢やっぱりお前は優しいなぁ……。流石Aだわ｣


今でも辛いと思うハカセは何故か嬉しそうに微笑んでいる。言い方も不自然だ。やっぱり、ってどういう事だ？


『何を知ったような言い方……』

｢ずっと思ってたんだよ、学校に行ったらマドンナになっちまうって｣

『外にすら出れないのにですか？』

｢あ、あー……いや、その、なんだ……。人間ってのは他にもいるじゃねぇか？だから……あのクソ野郎共を倒してくれる奴が現れたら自由の身じゃん？｣

『そんなたらればどうでもいいです。思うだけ虚しいです』

｢……でもよ、無いとは言い切れねぇだろ？｣

『は？』


気まずそうに頭を搔いていた筈のハカセは、ムカつくぐらいに自信満々に言いやがった
微々たる可能性に希望持つなんて、それこそ不毛だ。どれだけ残酷な事を言っているのか理解していないらしい


｢前言っただろ？世の中百人百様って。だからお前を助けてくれる人だって外にはいる筈なんだよ｣

『兵器の時点で私を破壊しに来ます。それに、長い間地獄の日々を味わっても誰も助けに来ないじゃないですか』

｢……違うんだ…。……今はまだ誰も助けてくれなくても、お前の怒りと嘆きはきっと誰かに届く……ッ｣


何故お前は泣きそうな顔をしている？
理解出来ない。何故？何故なんだ？何故血が出てる腕を掴んで、怒っている様に震えている？

考えられる仮説は、自分自身に怒っている、というもの。でも理由が見つからない
っ、まさかコイツは私に残酷な事を言っている事を自分で分かっているのか？それでも言うしかないと、そうする事しか出来ない自分に怒っているのか？


……そう思った瞬間に、イラつきが沈んでいった。
ハカセに怒りをぶつけても意味が無い。だから別の私の意見を述べた

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