765話 熊は賢いんです ページ28
乱数さんの言うお仕置はよく分からないが、命に関わる事では無い事を祈る。きっと大丈夫だ、うん。
心の中で頷いていたら「じゃ、入って入ってー」と促されたので中に入る。細長い廊下が続き、階段を登っていけばまた扉が私達を出迎えた
ガチャリと乱数さんが押し上げると、眩しいくらいにカラフルな部屋が目の前に広がった
「ようこそボクの仕事場へ!!まずはお手伝いの説明するから真ん中のソファに座ってね!!幻太郎も好きな所へ座っていいよ!」
「ではお言葉に甘えて」
壁紙は乱数さんの様にカラフルで、部屋の中なのにネオンライトの看板がギラギラ光り、照明と共に部屋を照らす。隅にはゲームセンターで見かけた大きなゲームの機械も置かれている
見た目はチカチカ凄く眩しく、シブヤの街を1箇所にギュッと集めた様な印象を抱いた
銃兎さんや左馬刻さんの家とは真反対の内装なのだが、それよりももっと異彩を放っているのが縄で縛られ床に転がっている帝統さんだ
まさかそんな事になってるとは思ってもいなかったから、戸惑いを隠せず乱数さんと幻太郎さんを交互に見てしまう。肝心の2人は帝統さんなんて居ないかのように平常運転だ
「昨日ね、ファンのオネーさんからハーブティ貰ったんだー。ピンク色で可愛いでしょ?」
「ふむ……香りも良くて味も爽やかですね。中々に良い紅茶です」
「ほらほらオネーさんも座って飲んでみてよ!」
『あの、……えっ!?』
「テメェら俺を無視すんなよ!これ解けよ乱数ァ!!」
「えぇー?これ以上犯罪を重ねない為のお仕置だよ?帝統はー、そこで1日反省しててね?」
「1日も!?」
「どうせこの後のご飯代も無いんでしょ?なら、ここでじっとしてて消費カロリーを少なくしないと!」
「俺は冬眠する熊か!!!」
「おやおや?熊と言うのはちゃんと冬眠に備えて蓄える賢い生き物です。帝統はそんな事すらしないので熊以下ですよ?」
「熊以下!!?」
2人は解放する気がない事を悟ったのか、今度は私にウルウルとした瞳を向けた。“俺の目を見てくれ!反省したんだ!だから解放してくれ!!”なんて聞こえそうな圧。
僅かに手を迷わせた瞬間、「あぁーー!!」と乱数さんが大きな声を出した
「今解こうとしたでしょ!!」
『え、あ、えっと……少し思いました』
「そんな事したらメッ!!オネーさんは優し過ぎるんだから!!もう!」
何故乱数さんがそんなに怒っているのか。隣でくーん、と悲しむ声が聞こえた気がする
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作者名:刹那 | 作成日時:2022年8月23日 15時