529話 皆が私にとって心休まる場所なんですよ ページ38
ただ驚かすだけじゃなくて、ストーリー性を敢えて隠しルートに忍び込ませる事で、お客さんに探索させ奥深さを作るなんてすっごいなぁ……!!
これを聞いたら確かめに2回目も行きたくなるものだ!
『そのルートを見つける寂雷さん達も凄いですし、そのストーリーを作った人も凄いですね!!』
「あ、え、そ、そうだ……ね」
「Aちゃんってリアルとフィクションの線引き強すぎない……?」
思ったままの事を笑顔で言えば、独歩さんと一二三さんは表情を引き攣らせ言葉を零した。理鶯さんは何も言わずただ私の顔色を窺い、寂雷さんは一瞬何かを考える様に眉を顰めると言葉を選びながら紡いだ
「貴女の傷を抉る様な聞き方をしますが……その、例えフィクションでも、自分の身に起きた事と似た話を聞けば多少なりともトラウマが蘇る物です。Aさんは大丈夫、なんですか……?」
いつも落ち着いている青い瞳が僅かに揺れている。恐らく私の心の状況を不安に思っているからだろう
私は少し答えに悩んだ。だって、フィクションは現実じゃないと理解しているから傷つかないだけだけで……大丈夫なのかと聞かれても……
あっ、そっか
この時、自分でも腑に落ちる答えが浮かび、思わず口が綻ぶ。4人は怪訝な表情をしながらも、答えを待っていた。皆が納得する物かどうか分からないけど、精一杯伝わる様に、今までの幸せな日常を噛み締める様に、言の葉に乗せた
『フィクションって誰かが考えた夢じゃないですか、現実では出来ない事をフィクションに乗せて“誰かを楽しませる”“ 誰かに何かを教える”“誰かと感情を共有させる”。今回のもより楽しんで貰えるように一生懸命作られたフィクションですから、私個人の理由で否定したくないんだと思います。それに――――
過去は変えられない事実でも、今こうして皆さんと共に幸せな時間を過ごしたり、祭りを楽しんだ事も事実です!だから、その事実がある限り大丈夫なんですよ!』
外の世界に触れて分かった。本やゲームのような作り物でも意味はあるし、過去がどれ程怖い物でも塗り替えれるほど幸せな事がある。だから不思議と怖くないんだって
皆との思い出を振り返りながら答えれば、4人は想定外だったのかキョトンとして私を見ていた。少し沈黙が続いたけど、一二三さんがそれを破りポツリ、と呟いた
「すげぇなぁ……Aちゃんは……」
金色の瞳は眩しい物を見ている様に細められ、声は儚くも強い響きを持っていた
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刹那(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉……っ。ありがとうございます!! (2021年9月28日 23時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - これからも応援しています。 (2021年9月27日 23時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさんいつもコメントありがとうございます!!楽しみにして頂き嬉しいです!!(*´ω`*) (2021年9月27日 23時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - おめでとうございます。スッゴク楽しみにしていました。 (2021年9月27日 22時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - おたくちゃんさん» おたくちゃんいつもコメントありがとうございます!!私解釈のMTCは気に入る人物には甘々なんですが、それを尊いと言って下さり嬉しいです( ◜ω◝ ) (2021年9月25日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年9月22日 22時