【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -10章- それは私にとって幸せな時間。心休まる場

508話 銃を持つ姿は様になってます！！ ページ17

結局2人は持ち弾全てぬいぐるみにぶつけていた。その後、スッキリした表情で店の人にお金を払い、再び銃を構えた


｢おっし、気を取り直して勝負すっか｣

｢負けるつもりは無いぞ｣

｢何さっきのを無かった事にしてんだ｣


そう言い争いをしながら3人は上半身を前のめりにし、それぞれに近い大当たりの箱を定める
おもちゃの銃を持っている筈なのだが、その姿があまりにも様になっているので、自然と手がカメラを構えシャッターを切った


――バンバンバン


3連続で発射する音が鳴ると、箱は後ろに倒れる。だが、棚の上で倒れただけで落ちる事はなかった


｢チッ、やっぱ落ちねぇか｣

｢ふむ、やはりコルクは空気抵抗を受けやすいな。少しズレてしまった｣

『皆さん頑張って下さいっ！』

｢ありがとうございます。必ず貴女にプレゼントしますよ｣


3人共悔しそうにはしているが、口角を上げて活き活きとしていてるのでとても楽しそうだ。｢うっしゃ次2発目な｣と左馬刻の言葉で再び箱を狙い撃つ






・





――あれから3発打ったが、倒れる事はあっても落ちはしなかった。あの3人でも簡単に落とせないって事は、素人の私がしても景品が貰える気がしない


｢ンだよもうラスト1発かよ｣

｢ふっ、今の4発で大体の弱点は見抜いた。次で仕留める｣

｢理鶯が言うと狩りをしてるみたいですね。まぁ私も次で落とすつもりですが｣

｢ハッ、そう言って外したら面白ぇんだがな｣

｢そういう左馬刻のカッコ悪い姿を期待していますよ｣

｢言ってろ。ンな事ねぇからな｣


好戦的な目のまま箱を捉える姿は戦場に立つ兵士そのもの。近くで見ていた子供達が若干怯えている中、標準が定まった3人は最後の弾を放つ


3つの弾は見事にそれぞれの箱の右上を撃ち抜くと、パンッと良い音を立てながら箱が回転し後ろの方へ落ちていった


――チリンチリンチリン！！


息をも忘れるくらいに夢中になっていたが、店の人が興奮気味にベルを振る音で我に返り、3人共景品ゲットしたのだと気づく

うぉおおおっ！！と私だけでなく、たまたま通りかかった人達までも歓声を上げ大興奮！


｢ンだよお前らも落としたのかよ。アレムズいんだから簡単に決めんなよ｣

｢言っただろう、次で仕留めると。軍人に二言はない｣

｢落とせた事は嬉しいですが、勝負は引き分け。流石2人、と言った所ですか｣


勝負が決まらず少し残念そうだけど称え合い喜ぶ幸せな時間を、私は噛み締めるように目を細め心に押し込めた

509話 フワフワ……？いやモチモチという感触ですかね？→←507話 3人が勝負します！！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す