【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -10章- それは私にとって幸せな時間。心休まる場

507話 3人が勝負します！！ ページ16

叫んでも楽しかったおどろおどろしい建物を後ろに、また賑やかな世界へと進み出す
最初怖かったカラスの鳴き声も全然怖くなくなったし、段々見えてくる普通の提灯の暖かい光で疲れはスッと消えた


色んな店を見ながら歩いて行き、先ず私達が興味を惹かれたのは射的。老若男女問わず大勢の人が、銃を持ってバンバンと棚に置いてある物を狙っていた
その光景に主に理鶯さんが目を大きく輝かせていた


｢コルクで対象を狙い落とすのか｣

｢前では無く、後ろに落さないと景品は貰えませんよ｣

｢一見簡単そうに見えて、前にばっか落ちちまうんだよなぁ｣


棚にはオイルライター、ラムネ等の小さい物からぬいぐるみやゲーム機等の大きな物まであった。流石にそれは落とせないので大当たりと書かれた箱を狙うらしい

最初は4人でやる話だったが、私は皆が仲良くやってる所を撮影したかったので、見る専門に

店の人に3人分のお金を支払うと、それぞれに銃を渡される
ドキドキしながら見ていると、慣れた様にレバーを引きコルクを詰める左馬刻さんに名前を呼ばれた


｢何が欲しいんだ？｣

『へ？』

｢へ、じゃねぇよ。折角なんだから狙うモン決めねぇと勝負になんねぇだろ｣

『勝負だったんですか』

｢まぁこういうのは誰が多く落とすか、或いは早く落とせるか、で勝負しますよね｣

｢成程……それは燃えるな。軍人たるもの、如何なる時も手は抜かんぞ｣


大柄な男3人が闘志を燃やす姿に思わず圧倒される。いつの間にか店の人含め、近くにいた人もゴクリと見守るという異質な空間になっていた

｢ンで、何が欲しい？｣と左馬刻さんに再び聞かれ棚に注目すると、黒いスーツに黒縁メガネのフワフワした兎さんのぬいぐるみが目に入った

それは赤ちゃんくらいの大きさで、ぎゅっとしたら気持ちよさそうだ
3人にお願いするのも恥ずかしいけど、興味を惹かれたのはそのぬいぐるみなので、照れながら指を差す


『あ、あれ……銃兎さんみたいですね。アレが欲しい……です』

｢ふふっ、私とは関係ない物の筈ですが、そう言われると光栄ですね｣


――バンバン。バンバン


｢チッ、全然落ちねぇな｣

｢左馬刻、心臓を狙っても意味は無いぞ｣

｢そういうテメェも眉間めっちゃ狙ってんじゃねぇか｣

｢おいお前ら嫉妬をぬいぐるみにぶつけんじゃねぇよ｣


大きさ的にも絶対大当たりの箱を狙った方がいい筈なのだが、2人は無我夢中で兎を打っていた
偶に物騒な言葉を言っていたが、気にしないでおこう

508話 銃を持つ姿は様になってます！！→←506話 スキル習得です！！(ただし限定的)

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