【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -10章- それは私にとって幸せな時間。心休まる場

493話 優しい先生で羨ましいですっ！！ ページ2

｢確かにAさん見とると幸せそうやな。こっちまで笑顔になってまうわ｣

『えへへっ、いいですねぇ。盧笙先生も笑ってる顔素敵ですよっ！』


段々盧笙先生との仲も良くなり、お互い自然体で話せる様にまでなれた。太鼓の音、通り過ぎる人々の賑やかな会話、知らない人でもこうして縁を作れるから祭りは凄い


会話は途切れること無く、また別の話題に


｢そういえばさっきから気になっとったんやけど、頬どないしたん？絆創膏貼っとるけどコケたんか？｣


盧笙先生は首をコテンと傾げ私の絆創膏をじっと見た
おっと、痛みが無かったから完全に忘れてた

忘れてた絆創膏の存在を確かめる様にスリスリ摩りながら苦笑いで答える


『そうなんですよ。はしゃいでコケたんです』

｢そうやったんか。ウチの生徒も修学旅行や校外学習ではしゃいでコケたり、喧嘩で絆創膏やったり包帯巻く奴おるわ。気を付けなアカンで？｣

『あはは……』

｢笑い事やない。残る傷になってしもたらどないすんねん｣

『…はい……凄く気をつけます……』


流石先生。こういう叱らなきゃいけない所はしっかりと叱ってくれる。本当に生徒さんになった気分

しゅんと俯いて言えば｢分かったならええ｣と微笑んで優しく頭を撫でてくれた。反射的に盧笙先生の顔を見ると、やってしまったと言わんばかりに目を見開いて手を退かした


｢す、すまん……。ついやってしもた……｣

『生徒さんにもそうしてるんですか？』

｢ま、まぁ……そうやな……。ただ今は不要な接触が問題視されとるから、やらんように気をつけとるんやけど……教え子が可愛いと思わずやってしまうんや……｣


少し不安気な様子を見せながらはにかむ盧笙先生。本当に生徒さんが大好きなんだと、笑みが零れた


『ふふっ、私は全然大丈夫ですよ。寧ろ撫でられるの大好きですっ』

｢ふっ、そうか。それは安心したけど、嫌な事があったら言うんやで？｣

『了解です！先生！！』


ビシッと敬礼すれば、慈愛を含ませた様な橙色の瞳を細めた。そして弧が描かれた口からポツリ


｢ホンマ、ええ子やな｣


妙に響くその言葉に首を傾げ、名前を呼ぶと優しい声色で続けた


｢ウチの生徒にも色んな奴おるんやけど、Aさんみたいな子中々おらんよ。それにその笑顔見てると、笑顔が似合う知り合いを思い出すわ｣

『知り合い……？』


復唱すれば｢あぁ……｣と悲しみが含まれた声で頷いた。少し気になるけど、デリケートな部分だと触れる事はしなかった

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