【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -10章- それは私にとって幸せな時間。心休まる場

538話 混沌――カオス、ですかね ページ47

｢うわぁあああああっ！！？あっち行け！！｣

｢ぶははははっ！チャンどぽめっちゃ花火に好かれてんじゃんっ｣

『あ、あれは大丈夫なんでしょうか……？』


ドラゴンの花火が終わり、今度は鼠花火を始めてみたのだが、これまた一二三さんの提案で3つ同時に火をつけて誰が1番威力があるかという勝負をした

でもいざ火がつくと一斉に独歩さんを追いかけ始め、それどころじゃ無くなってしまった。逃げ惑い何処に行ってもピタリと後ろに着いてくる花火。と言うより、花火の行く先に独歩さんが先回りしてるのかも……




｢ダーハハハッ！あのリーマンヤベェなっ。あれ爆発したらどうなんだよっっ｣

｢対象の先回りを行うとは観音坂も察知能力が優れているな｣

｢いや理鶯、アレは先回りでは無くたまたまですからね｣

｢念の為に火傷の薬を準備しておきましょうか……｣

｢神宮寺、それなら小官が用意しよう。小官の薬はよく効くぞ｣

｢ありがとうございます。ではもしもの時は宜しくお願いします｣




離れて私達を見ていた人もこの異常事態には気づいてるけど助けに行く様子はない。怪我した時用の準備は始めてるっぽいけど……それより助けに行った方が……

私が行こうにも花火も独歩さんも暴れ回ってるし……どうしたものか――


｢あっ｣


――ドテンッ！！


そう考えていると慣れない雪駄を履いているせいか、そんな音がしそうな勢いで転けてしまう。危ないと慌てて彼の名を呼べば、花火達は独歩さんの横を素通り


その先には――――



｢むっ｣

｢バッカ野郎！！お前俺らの所に連れてくんじゃねぇよ！！｣

｢我々は2回ですからねっ！！？｣

｢ふふふっ、どうやら薬が必要になるのは私達かもしれませんね｣

｢呑気に言ってる場合かよ！！｣



自分には被害がないだろうと見物していた4人。猛スピードで接近してくる花火に彼らはバラバラの方向で走り出す


｢おい左馬刻！俺を盾にするな！｣

｢るせぇ！俺らに裏切りはねぇだろ！！｣

｢んな事をここに持ち出すなよッ！！｣


――仲間の肩を掴み、身代わりにする者


｢縦横無尽に駆け回る相手からの攻撃を避ける訓練は久しぶりだな｣

｢最近動いていないですからいい機会ですね｣


――何故か楽しんでいる者と綺麗に分かれた



｢ひぃっ、はははっ！やっべぇめっちゃ面白くなってんじゃんっ。独歩サイコーっふふっ｣

｢はわわわっ、俺のせいで皆さんに多大なご迷惑を……ッ｣

『これがカオス、という事ですかね……』

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