6話 良い事悪い事 ページ8
アジトに戻った男達は少女を歓迎した
内装は至って普通の部屋
1LDKでテレビやソファなど必要最低限の家電、家具が置いてある
それでも少女にとっては珍しいのか、キラキラと目を輝かせながら辺りを見渡している
「これからここがお前の家だ」
『家……住んでいいの?』
少女は親方の方に振り返ると、無邪気な子供の様に嬉しそうに飛び跳ねた。それを見た親方は「ただし、」と強めな口調で声を出した
「──条件がある。このマイクを色んな所から集めて欲しいんだ」
『集める?』
「これはな、とーっても危ない物なんだよ
それなのに悪い奴らが色んな奴に売りさばくから人々が怪我したり争いが起きたりするんだよ」
子供に教える様な言い方で親方は説明をすると、少女はじぃ……と目を見て静かに頷いた
「だから俺達は裏で取引しようとしてるヤツらからマイクを奪っていくんだよ。それであるべき場所に返すんだ
そーすると感謝料で何円か貰えるんだ 俺らはそーして生活してるんだ」
『じゃあいい事してるってこと?』
「あぁそうさ
でもさっきみたいに警察が邪魔をしてくるんだ。確かに警察は市民を守る組織とは言ってるが実際は下劣な連中だ
自分の為なら手段を選ばず他人を傷つける……もし捕まっちまえば死よりも辛い拷問が待ってる……」
親方が脅す様に笑みを浮かべると、少女は恐怖でゴクリと固唾を飲み込む……
『警察……悪い人達……』
「あぁ…ついでにマイクを持ってるやつらもな……」
『オヤカタは持ってないの?』
「善良な市民だからな 持っちゃいねぇよ」
──まっ、ラップなんかよりも素手で殴る方が性に合うって理由だけどな……
親方は少女に自分の都合の良いよう吹き込んでいく
少女は純粋過ぎるのか世間知らずなのか、疑う事無く全て信じている
「だからよ、お前さんも手伝って欲しいんだよ。このマイク集めをよ。上手くいったらうまい飯をやれるし かわいい服も買ってやれるからよ」
『うん!オヤカタの為に頑張る!!』
───あぁ……うぜぇくらいにキラキラしてやがる……
まぁ……今は使えるみたいだし 精々俺の為に頑張ってくれよ……可愛いカモちゃんよ……
予想外の収穫に男は、少女に背を向けた後ニィ……と不敵な笑みを浮かべ、舌なめずりをした
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作者名:刹那 | 作成日時:2020年12月14日 12時