31話 あの時の説明 ページ33
「──では彼女を抱えた後建物を蹴り隣の大木に飛び移ったと?」
「あぁ。少しでも衝撃を和らげる為にと飛んだのだが、不思議な事に幹にしがみつく事が出来た
結果的に木を幹から折ってしまったが小官とAは無事だった」
「落下途中に飛び移るということ自体 人間離れしていますが、それに加え幹に抱き着き衝撃を完全に無くした……
とても興味深い。本来であれば10階から飛び降りればトン単位の負荷がかかる筈
それなのに大木の幹にしがみつくだけで軽傷に済ませるなんて……その擦り傷は枝によるものだね?」
「あぁそうだ」
診察室に連れてかれた理鶯は寂雷に事の顛末を話していた
気を失っているAは元々いた部屋に戻され、左馬刻と銃兎は先程の銃撃犯を捕まえる為病院を出ていた
「流石軍人……という事かな?」
「ふむ……だが小官自身も実感がないのだ」
「と言うと?」
「鍛えているとはいえ小官は自分の命を捨てる覚悟だった
だが Aの声を聞いた瞬間出来る気がした……こうすれば助かると
そこからは自分が自分じゃないかの様に体が勝手に動いた」
「声……かい?」
理鶯が頷くと、寂雷は右手を顎に当て思案する
「………そういえば独歩君達から聞来ましたが、彼女を拘束した時 声で吹き飛ばされたと。ヒプノシスマイクと同じ様に」
「あぁ。あの衝撃波は並のマイク所持者では起きない、観音坂のラップスキルと似たようなものを感じた
もしかしたら白衣の人物を恐れている理由に関係しているかもしれないな」
「そうだね……
取り敢えず傷の消毒は終わったよ 体の状態を見てもそれ以上の治療は必要ないみたいだ
だけど、我々の理解を超える何かが起こってるのは確かだから安静にね」
「あぁ感謝する」
2人は寝ているAの元へと向かった
・
部屋に入るとAは目覚めていた様子で、2人を見るなり慌てて上半身を起こそうとするので寂雷が止めに入った
『毒島さん!生きてたんですか!?』
「あぁ貴女のおかげで助かった。感謝する」
『えっ?私……?』
「貴女の声が奇跡を起こしてくれたのだ」
理鶯がそう言うと、Aは頭を抱えみるみると青ざめていった
『あぁぁ……!?私はまた……!!
か、体に何か異常は無いですか!?』
「む……?特に何も無いが?」
『ほ、本当ですか!?』
「やはり何かあるんですね?」
寂雷がそう聞くと、やはり何か隠している様で表情を引き攣らせながら視線を逸らした
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作者名:刹那 | 作成日時:2020年12月14日 12時