26話 死んでも離さない ページ28
──まるで獣の咆哮だった
その声が響いた瞬間 衝撃波が5人を襲い、壁に叩きつけられるとそのまま倒れ込む
解放された少女はゆらりゆらりとおぼつかない足で独歩に近付く
全員今の一撃で動く事が出来ない
「くそがァ……今の何だよ……」
「ヒプノシスマイク……でしょうか?」
「それにしてはあまりの破壊力だ…まさか小官が吹き飛ばされるとはッ…」
「独歩君……」
独歩は頭を強打し気を失っていた
そんな彼を守る為一二三は痛む体にムチを打ち這うように近づく
少女は独歩のスーツの内ポケットに手を伸ばしマイクを掴み取ると、一二三が少女の腕を掴み止めに入る
「やめるんだ…こんな事をしても……君はッ…」
少女は一瞥するが、直ぐに掴んでいる手を振り払う
そして少女は走り去っていった
・
よし…これで生きれるんだ
渡されたメモによると近くの倉庫に行けばいいらしい
目的地の倉庫に着く
そこは寂れた倉庫で昔から使われてる様子はない
中に入るとオヤカタ達全員がいた
「おぉ 無事取ってきたみたいだな…。さぁマイクを寄越せ」
言われた通りに奪ったマイクを前に差し出すと、オヤカタは薄ら笑みを浮かべながらそれを掴んだ
あぁ……生きれる
死なずに済むんだ……
あれ…
でもなんで生きたかったんだ……?
確か謝りたかったんだ
償いたかったんだ
何に?
──“やり直せるよ”
『っ!?』
頭の中に優しい声が木霊した
その声で自分の過ちに気付き、とっさにマイクを取られない様に掴む力を強める
──“その……助けに…なるから…”
『違う…違う違うッ!!
私はこんな事までして生きたかったんじゃない!!』
「チィッ!効果がきれやがったか!離しやがれぇ!!」
『ごめんなさい!助けになるって言ってくれたのに!私!』
掴んでいる手を振り払うとオヤカタ達に背を向けた
「くそがァ!テメェら!マイクだ!」
耳鳴りの様な起動音がした後、オヤカタ達のラップが襲う。鈍器で殴られた様な痛みが身体中に駆け巡り膝が地面に着いてしまう
『がぁッ!!』
“死にたくない”
うるさい黙れ
“何をしてでも生きたい”
そんな事ないッ!
「使えねぇ女だなぁッ!さっさと寄越せ!!」
オヤカタは蹲ってる私からマイクを奪おうとするが必死に抵抗する
『死んでもこのマイクは離さないッ!』
彼等を睨みつけると腹を立てた男達は手加減無しで攻撃を続けた
『あぁぁぁぁあ゛ッッ!!』
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作者名:刹那 | 作成日時:2020年12月14日 12時