24話 シンジュクの帰り道 ページ26
PM10:00頃
仕事が終わった独歩は一二三と共に自宅に向かっている
｢悪いな一二三 仕事抜け出してまで迎えに来てもらって｣
｢何を言うんだい独歩君
僕達は親友じゃないか！親友のピンチに仕事なんか出来ないよ！
毎日迎えに行くよ 独歩君と違って僕の仕事は融通が利くから！｣
｢お前はひと言多いんだよっ！｣
｢それにしても仔猫ちゃんの事が心配だね｣
｢あぁ……あの子はまだ警察署に来てないみたい……
無事だといいけど……｣
家が近くなるにつれ広かった道が狭く人通りが少なくなってくる
ふと 独歩が視線を感じ辺りを見回す
｢どうしたんだい？｣
｢誰かに見られてる気がして……｣
｢もしや君を狙っている人達じゃないかい？｣
そう話していると建物の影から人がゆっくりと出てきた
その人物に気が付き独歩を庇う様に一二三は前に出る
暗くて何者か分からなかったが 近づくにつれ街灯の光が全容をあらわにした
その正体に独歩は思わず目を見開く
｢き、君は！！｣
｢っ！！もしかして君が独歩君の言っていた……｣
あの時の少女だ
だが 以前と比べ様子があまりにも違う
優しそうな表情が嘘だったかの様に生気を感じない亡霊の様だった
少女は静かに近づく
｢仔猫ちゃん、何があったんだい？独歩君から聞いた人物像とかけ離れているよ｣
｢もしかして何かされたの？俺が余計な事を言ったから──｣
少女は地面を蹴り 一気に距離を詰める
庇う様に前に立っていた一二三を避けそのまま独歩の目の前に──
｢ッ！独歩君！！｣
｢っ！｣
突然の事で独歩は反射的に目を瞑る
だが、いくら待てども衝撃は来ない
恐る恐る目を開くと独歩の目の前には迷彩柄が広がっていた
｢む、中々筋がいいようだな｣
｢ぶ、毒島さん！？｣
｢君はMTCの！？｣
少女の攻撃は突然現れた理鶯が防いでいた
予想外の事が起こり少女はすかさず理鶯から距離をとる
｢おーおー、まさか初日から来るなんてなぁ｣
｢ようやく会えましたね｣
少女の背後にはヒプノシスマイクを構えている左馬刻と銃兎が立っていた
｢な、なんで！？｣
｢通報がありましてね 午前3時頃気を失っている少女が男達に車に連れ込まれている、と｣
｢ンでその車調べたらシンジュクに行ったつーから俺様が態々来てやったんだよ｣
｢口封じに犯人が現れると思っていたが、まさか貴女が現れるとは思わなかった｣
少女はこの状況でも表情は変わらず独歩を見続けていた
まるで周りが見えていないかの様に
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作者名：刹那 | 作成日時：2020年12月14日 12時
