16話 ネガティブ ページ18
少女は暫く俺の顔をじっと見た後、口をパクパクと動かした
何かを喋りたいのだろうか……?
そうかこんな時間にアラサーに話しかけられたら警戒されるよな!?
「あ!いやその!誘拐とかそんなんじゃなかて……ただこんな時間に女の子がいて心配なだけでそんなやましい事は…!!」
必死に身振り手振りで彼女に弁解するが、余計に怪しまれるなと自分で思う
『いえ……その驚いただけでして……』
漸く少女はか細いが声を出してくれた。でも直ぐに俯いてしまった
「こんな時間に何してるの?」
『少し心を落ち着かせる為にいるんです……』
「隣、座っていい?」
そう聞くと少女はこくりと頷く。警戒されず受け入れてくれた事に安堵しながら、ゆっくりと隣に腰を掛ける
心配して話しかけたは言いものの何を話そうかと悩んでいると、少女はまた鼻をすすった
泣いてたからなのかどうか分からなかったけど、寒いし丁度いいかと彼女にカフェモカを差し出す
「寒いから飲みなよ。まだ買ったばっかりだから温かいよ」
少女は缶を見ると受け取る為に手を上げる
だが、その手は直ぐに下ろされた
何かあったのかと首を傾げながら聞いてみる
「どうしたの?」
『えっと……私何も返せないです……だから受け取るなんて……』
申し訳なさそう視線を落としているので、どうやら遠慮しているらしい
「別に気にしなくていいよ これ甘くて飲めないんだよ……だから代わりに飲んでくれると助かるな」
微笑むと少女は弱々しい声で礼を言って缶を受け取った
余程寒かったのか両手でギュッと缶を握りほぉ……と息を吐いた
心なしか表情が和らいだ気がする
『温かい……です』
「冷めないうちに飲みなよ」
そう促すと少女は指をプルタブに引っ掛ける
だけど、上手くいかないのかカツカツ音がするだけで開かない
すると彼女は恥ずかしそうに言った
『あの…実際にこれ……開けるの初めてで……開けてくれませんか?』
「あぁ!ごめん!!
そうだよな……普通そこまで気を使わないといけないよな……だからハゲ課長にも言われんだよお前は視野が狭いって……ハハハ…そうだ……全部俺が悪いんだ……俺が俺が俺が……」
『ごめん…なさい……気を悪くしましたか…?』
「ハッ!いや!!俺のいつもの悪い癖で!!ごめん今開けるね!!」
また俺は沼にハマりかけたが 少女の声で戻ってこれた
先生にいつも注意されてるけど…まだまだ治らないなと自分のネガティブさに心の中で笑った
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作者名:刹那 | 作成日時:2020年12月14日 12時