13話 情報交換 ページ15
｢ご馳走様でした｣
｢美味かったぜ 理鶯｣
｢よっぽどお腹が減っていたのだな。沢山食べてくれて腕によりをかけて作ったかいがあった｣
中身が空になった鍋を見ながら理鶯は嬉しそうに呟く
その様子を見た2人はつくづく理鶯に甘いなとお互いの顔を見て鼻で笑った
理鶯が再び席に戻ると 銃兎は眼鏡の位置を直し本題を切り出した
｢では、お2人に頼んでいた件ですが……何か情報は得られましたか？｣
｢悪ぃが色んなとこ聞いたが情報はゼロだ｣
｢小官も色々と調べたが彼女の情報は得られなかった
……だが最近マイク狩りが失敗し逃げたという情報は得たがそうなのか？銃兎｣
その言葉に左馬刻は目を見開きながら銃兎の方を見る
｢その女、中々な奴なんだろ？失敗すんのか？｣
｢流石理鶯、その情報は警察しか把握していないですよ。ハッキングか何かですか？｣
｢企業秘密、という事にしておこう｣
｢ふっ……そうですか
違法マイクの取引が行われている所に現れ奪っていくというのが今までの犯行でしたが、最近は人通りの少ない所で市民をターゲットに正規のマイクを強奪しています｣
｢サツ相手に成功して、味を占めやがったか……｣
｢ですが、理鶯の言う通りマイクを奪わずに謝って逃げていくというパターンが何回かあったんですよ｣
｢はぁ？謝るだぁ？｣
｢えぇ…それの共通点は奇跡的に彼女の攻撃を避けた後に会話をしている点です
被害者は皆 その少女にとって自分は悪者、という認識をされていると言っていました｣
｢それが誤解だって気付いたから謝ったって事か｣
｢ふむ……善悪の区別がつかない少女か……
失敗を何回もしているという事は徐々にだが自分の過ちに気付き始めてるのではないか？｣
｢私もそう思っていたんですが……｣
｢あぁ？違うのかよ｣
｢昨日起こった事件なんですが……被害者が泣きながら見逃してくれと頼んだのにも関わらずマイクを奪い去ったんですよ
被害者曰く その少女はアザだらけで泣きながら謝っていたそうです｣
その言葉に左馬刻と理鶯は顔を歪ませる
｢言う事聞かなくなったら暴力かよ……なんで逃げねぇんだよ……｣
｢善悪の区別がつかない無垢な少女だ。何が正しいのかが分からない状況故に助けを求められないのだろう……。いや助けの求め方が分からないのかもしれないな｣
｢警察は悪、という認識もしていますしね｣
｢早く見つけ出してそのドグソ野郎に地獄を見せつけねぇとな……｣
2人は静かに頷いた
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作者名：刹那 | 作成日時：2020年12月14日 12時
