2分40秒 ページ10
Aside
先生に曲を勧めてから1日。今日は感想を教えてもらう日だ。
ちゃんと聴いてくれたかな、先生。
正直それが今日1番気になってる。
探せばすぐ先生に会えるのは確か。
感想を貰うことは容易いはずだ。
しかし今日は水曜日。
新先生の授業がない日だ。
授業がない限り話しかけることはあまり無い。
だから、先生に会えたとしても感想を聞けるとは正直思えなかった。
1時間目 数学
いつも通りノートをとって終わる。
2時間目 英語
適当に問題を解いて終わる。
3時間目 物理
新しい公式をまとめて終わる。
そうして4時間目、5時間目と時間は過ぎて、ついに放課後になった。いつも勉強する自販機前のテーブルに荷物を置いてため息をつく。
やっぱりあの言葉は嘘だったんだ。
受け入れて貰えなかったんだ。
先生もほかの皆と同じだと思うと急に悲しくなった。
でも、たかだか曲1つ聴いて貰えなかったくらいで凹んでいられない。
また今度教えてくれるかもしれないし。
とにかく今は勉強しよう。
そう思って国語のワークを開いた時だった。
新「Aさんっ!!」
あの時と同じ。
会議室で聞いた声だった。
A「新先生、?」
新「っごめんね、、遅くなっちゃって、」
額を伝う汗。
乱れかけた授業の資料。
走ってズレたネクタイ。
マスクから漏れる吐息。
何気なく目に入った先生の全てはとても綺麗だった。
ネクタイを緩める仕草に見とれていると、新先生は荒い息を整えて何かを呟いた。
新「2分40秒。」
それは、私が勧めた曲のメロディで1番好きな箇所。
新「2分40秒過ぎから、切なさと痛みを感じた。刺さるような高い女声が印象的で何故か中毒性があって、その場にいなくても伝わる空気感?みたいなものがあってっ、それで、
俺は1番そこが好きかなって。」
新先生が一生懸命感じたことを話す様子に、ただただ感動した。
こんなにちゃんと聴いてくれるなんて思っていなかったから。
A「全て聴いて下さったんですね。ありがとうございます、、」
新「こちらこそ勉強になりました。こんな音楽もあるんだなって。」
そんな真剣な新先生が人一倍かっこいいと思った今日この頃。
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作者名:甜 | 作成日時:2021年3月11日 12時