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前髪 ページ22

新side

授業もあと1時間で終わる。
最後はえーと、、C組で現代文か。
クラスが出来てすぐだからかまだ生意気な生徒はいない。が、反対に特別話が盛り上がるような生徒もいない。
Aがいた時は楽しかった。
授業の時に話して、すれ違った時も話して、自習中も話して。
あんなに会話が尽きないことは無かったから、あの頃が少し寂しい。


そんなことを考えてぼーっと教室に寄りかかると









A「間に合うかなっ、!」
友達「行けるよ多分!もうのんびりしよ!」









聞きなれた声が長い廊下に響きわたる。

明るい、なのに低く深い声。






紛れもなくAの声だった。

多分この階に来たのは、俺が今から授業するC組の向かいで生物をするから。


そんな彼女は俺に気づかず荷物を焦って落としそうになっている。
そんな姿も愛らしかった。


やっとのことで生物室の前まで来たA。





新「こんにちは。」

A「ぅあっ!?、あっ、こんにちはっ!」



突然声をかけられたのと、その主が俺だったことに酷く驚いているようだった。
俺と目が合うと彼女は視線をそのまま上に滑らせて、はたと動きを止めた。


A「なんか、前髪すごいですねっ!」


突然の一言に驚いた、というより傷ついた。
そんなに変な髪だったか。
最近買ったばかりのワックスを使ったんだが。

俺は必死に横に流れている髪をぐしゃぐしゃ乱した。
こんな恥ずかしい前髪、早くストレートに戻って欲しい。

すると、


A「あーそのままで良かったのに!」


Aは残念そうに項垂れた。
てっきり「すごい」だなんて言うから変なのかと思っていたのに。


少し安心してため息をつくと、丁度始業のチャイムが鳴った。

彼女は俺の髪を「かっこいい」だか「羨ましい」だか付け足した。

かっこいいは嬉しいけど

羨ましいってなんだ。





新「絶対馬鹿にしてるでしょ笑」



そう笑って誤魔化した。

俺の言葉に違う違うと慌てるA。


そんなこと分かってる。
Aは人を馬鹿にしたりする人じゃないから。



新「本心だって思っちゃったから。
だから誤魔化すしか無かったんだよ。」






なんて

聞こえるはずもない彼女に向かって言ってみたり。

恥さらし→←学ぶ1時間より話す1分が欲しい



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作者名: | 作成日時:2021年3月11日 12時

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