シ ョ ー ケ ー ス 越 し【 うらたぬき 】

sweet27.惚気 ページ28

｢ねえねえ、うらたんさー｣




｢なんだよ｣





やや身を乗り出して聞いてくるるすに、ちょっとのけぞりながらそう答える。




⋯カフェに移動したはいいものの、まあ女子が沢山くるようなカフェだし、さっきよりも見られてる。




いやまあ⋯すべてはこのホスト野郎のせいなんだけど⋯




それでも本人は気にも留めていない様子で。





｢あんな、最近話題なんやけどさ｣



｢うん｣



｢うらたん、彼女おるってほんま？｣




あぇぇえええ？！？！




思わず飲んでいたソイラテを吹き出しそうになった。危ない危ない。




｢え、なんで知ってんの、いやそれどこで聞いたの⋯｣




｢あ、やっぱそうなんや？｣





あ、しくじった言っちゃった。



誰かにAのこと好きになられても困るし、言いたくはなかったんだけど⋯




⋯そういう点じゃうちの志麻くんが一番危ないんだけど⋯仕方ない。





｢あー⋯てか、それどこ情報？うち?(島坂船)｣




知ってるのはあいつらだけだし、言いそうなやつも約一名ほどいるし。坂田とか坂田とか坂田とか。




｢いや？ちゃうで。なんか、まふがさ、うらたんが女の子と二人でおるとこ見たんやって。それで、『裏切り者だぁぁぁあ⋯！』とか叫んでてん｣



おい。


唐突にカットインしたまふの声真似に、不覚にも笑ってしまった。



⋯こうなったら、もう腹を括るしかないか。





｢⋯うん、ま、彼女だよ｣




｢あ、やっぱそうなんや！よかったやん！｣





まるで自分のことのように嬉しそうに笑うるすに、少しぽかんとしてしまう。





⋯やっぱ、俺の周りいい奴ばっかなんだよなぁ⋯





あの3人(島坂船)のことまで思い出して、じんわりと目頭が熱くなる。





｢え、めっちゃ気になってきたんやけど。どんな子なん？｣





あれ、でもるすがここまで興味持つと思わなかった。






どんな子、と聞かれるとそうだな⋯






まず、笑顔が可愛くて、




ものすごい美人で綺麗で、




誰にでも優しくて、




スイーツ作りが上手で、




一緒にいると心があったかくなるような⋯、






そんな人。





でも、そうのろけ出すと止まりそうにないから、あえて他の話題を探す。





⋯あ、そういや。





｢あ、彼女、るすと同じ福井の出身なんだって。すっごい標準語だけど｣







福井って美男美女多いのかな⋯なんて呟きは、興味津々のるすには聞こえていないようだった。

sweet28.意外な失恋→←sweet26.時間潰し

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す