シ ョ ー ケ ー ス 越 し【 うらたぬき 】

sweet22.君じゃなきゃ ページ22

⋯ライブが終わり、足早に向かった先で待っていたのは、笑顔の彼女。



｢ね、｣



笑顔のままの彼女が、ふわりとなびく髪を耳にかける。



まるで、時が止まったかと思うような、長い長い時間に思えた。



⋯同時に、今この瞬間がずっと続いてほしいとも思ってしまって。



｢渉くん、今日もすごくかっこよかったよ。おつかれさま｣



｢⋯ありがと。Aも、二日間来てくれてありがとね｣



＿＿もう、待つことなんてない。


今ならきっと言えるから。




｢あの、さ｣



｢ん？｣



こてんと首を傾けた彼女の瞳を、じっと見つめた。




｢⋯昨日、俺が遠い存在に見えた、って言ってたよね。


俺もね、自分一人の力であの大舞台に立てたわけじゃなくてさ。


仲間とか、スタッフさんとか、色んな人の支えがあったからこそ頑張れた。


⋯そして何よりも、昨日も今日も、Aが見てくれてる⋯ってずっと意識してたから頑張れた｣




そこまで言って、彼女が少し目を見開いたのがわかった。





｢けど、それが他の誰でもなく、Aだったから頑張れた。


他の誰かじゃダメなんだ、って、気づいたんだ。


⋯夢に向かって頑張ってるAも、幸せそうに笑ってるAも、全部全部。


俺にとっては、全部頑張れる力になってた。


だから。


Aに隣にいてほしいと思った。


大切にしたいと思った。


だからさ⋯






.









⋯⋯好きだよ。






⋯俺の彼女になってください｣

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