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月夜の誘惑 Side:K 1 ページ16

今夜は満月だ。

“月が綺麗ですね”

夏目漱石の言葉。

俺は文学に詳しくないけれど、読書が趣味な藤ヶ谷ならそういうこともさりげなく言えそうだ。

俺はベランダに行ってしまった藤ヶ谷をリビングで待ちながら、そんなことを考えていた。

俺、何かしたかな?
あいつを怒らせたかな?
不安が頭を過ぎる。

誕生日に何が欲しいと聞かれて、
「藤ヶ谷と過ごしたい。」
と答えた。

これは嘘でもなく俺の本心だ。
彼が居てくれるなら、何も要らない。
そう思えるくらい俺は藤ヶ谷のことを好きになっていた。

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作者名:ルナ | 作成日時:2022年9月4日 17時

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