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さよならのかわりに 4 ページ41

「そろそろ行くわ。」

「うん。気をつけて。」

時計はAM11:00になろうとする頃、別れの時はやってきた。

仕事へ向かう彼を玄関まで見送る。

偶然見つけた。
獲物に過ぎなかった。
ただ、血が欲しかった。
そのために近づいた、はずだった

靴を履く彼の背中を俺はじっと見つめた。
あと何分、何秒居られる?
この玄関を開けたらもう交じ合うことのない人。
今なら手を伸ばせば届く距離にいる。
無理やりにでも押し倒して血を啜れる距離に居るのに、今の俺にはなぜかそれが出来なかった。

彼が玄関を開けようとした。
さよならだ 、




「また連絡する。」

「え…?」

その言葉に驚き俺は聞き返した、
俺の聞き間違えか?

「藤ヶ谷くん、驚きすぎ。」

「え、北山くん…俺さ…あれだよ?昨日の夜、君のその…」

「知ってる。でもまた会いたい。何でかわかんないけど。」

「昨日みたいなことになるよ?」

「うん。それでもいい。今度は俺もやられっぱなしじゃないし。」

「そういう事じゃ…」

「いいんだよ、俺が会いたいからそれで。仕事遅れるからまたゆっくり連絡する。」

「うん、分かった 」

俺はそう答えるのに精一杯だった。

「あ、そうだ。」

「ん?」


チュッ

「…//////」

「耳まで真っ赤。昨日のお返し。じゃあ、行ってくる。」

そう言いながら彼は俺の部屋をあとにした。

俺は彼が帰ったあともしばらく玄関に立ち尽くした。

顔が熱い。

彼待つ夜 1→←さよならのかわりに 3



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作者名:ルナ | 作成日時:2020年3月25日 1時

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