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2度目の夜 4 ページ32

「藤ヶ谷くんはタクシーで帰る?」

「そうしよっかな。」

「それなら俺と途中まで一緒に乗っていけばいいよ。」

俺は彼の言葉に甘えることにした。
タクシーを捕まえた俺たちは後部座席に乗り込んだ。

「こんなに早く再会するとはな。」

「うん、まさかね。」

「スマホの番号交換しておいて良かったよ。」

彼は俺の方をちらっと見た。

その後も焼肉美味かったとか、他愛のない話をした。
美味そうなのはお前だよとは口がさけても言えない。

そうこうしているうちに、俺が住んでいるマンションが見えてきた。

「ここで。」

俺がタクシーの運転手に告げる。

「それじゃあ、おやすみ。」

彼は俺に微笑みながら言った。

ここで俺もおやすみと言えば良かったんだろうな。でもそうはしなかった。

「ねぇ、少し寄ってかない?」

俺は半ば強引に彼の手を引いて、タクシーから降ろした。

彼も初めは戸惑っていた様子を見せたが、すぐに俯きながらも俺の手を軽く握り返した。

あーあ、逃げればいいものを。
自分から俺のところに来ちゃって。
可愛い奴。

「それじゃあ、行こうか?」

「うん…」

俺は彼の手をしっかりと握ると2人でエレベーターに乗り込んだ。

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作者名:ルナ | 作成日時:2020年3月25日 1時

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