Snow's Love (ページ17)

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机上【オスマン】ページ17

かりり、と万年筆が紙を引っ掻く音。
とん、ぺた、とゴム印が紙を離れる音。
ぺらり、と紙どうしが擦り合う音。

三音が規則正しく刻まれるこの部屋に、
こんこん、と新たな音がした。
どうぞ、と私が喉を震わせれば、
がちゃり、きい、ばた、と扉が鳴った。

音楽が、止まった。

『良いところだったのに。』

｢邪魔した？ごめんな？｣

1ミリも思ってない顔で言うものだから、呆れた。そもそも、仕事を促す気など無かっただろう。彼の手にはしっかりとお紅茶セットなるものがトレーの上に置かれ、控えられている。

｢そろそろええかなぁって。｣

『勤務時間中だといつも言っているのに。』

｢そんなつれんこと言わんといてさ、ほら。｣

手際よく用意される紅茶の音を聞きながらなおも私は書類を進めた。

かちゃかちゃ、かりり、とんぺた、とぽぽ。
ぺらり、かたかた、かりり、かちゃん。

また、音が鳴る。
目の前の書類タワーの横。五冊ほど重ねられた本に柔らかい香りを放つ紅い飲み物が置かれた。

『...本を汚す原因になるでしょ。』

｢そうでもせんとA止めへんやんソレ。｣

仕事をそれ呼ばわりとはなかなか。そう思いながらも折角入れてもらったのだからと口に付けた。