7 ページ8
犬と戯れる子供達の微笑ましい光景。
葵は再度縁側に腰掛け、
慈しむような表情を浮かべ残った茶を啜る。
しかし、葵としては内心一瞬も気が抜けない。
2人が触っているのは生き物の形をしているが、れっきとした炎だ。
しかも、葵の発生させる炎は
元来生物を創造できない。
生命を奪い取る武器しか生み出せないのだ。
つまり、彼女たちが無邪気に戯れている物は、兵器なのだ。
何かの間違いで2人が怪我でしたらと考えると、湯呑を握る手に力がこもる。
『2人とも、どう?壬生狼は』
「「いいぞ‼」」
『熱くない?』
「全然‼」
「なぁ、葵」
『何?』
「ヒカたちにコイツくれ」
しかし、その心配は杞憂に終わった。
葵は笑みを溢し、重たい腰を持ち上げ2人の元に歩み寄った。
子供とは、こうも容易く心を救ってくれるのだ。
葵は、愛おしそうに2人を撫でた。
『それについては、考えとく』
「ちっぇ」
「で、何に使うんだ」
『そうね…、まずは私の道案内役でしょ」
「「なんで、それなんだ」」
『食い気味…。他にも色々使い道はあるから。とりあえずは、何処か行くにも誰かにお願いするしかない今の状況が大変心苦しいので…それをどうにかしたいの…』
苦笑いを浮かべ、後半言い淀む葵。
「人に迷惑かけてる自覚あったんだな」
『前々からあったわ。それに、一人で見回りにも行けないなんて、恥ずかしいし…』
「やっと気づいたのか」
「情けねぇな」
『うっ…』
これ以上口を開いても、口の達者な2人の前では墓穴を掘る気しかしない葵。
そんな不甲斐ない主を見て、くぅ〜んと鳴く壬生狼。
そして、情けない葵にいぶしげな表情になる双子。
『とっ、取り合えず今日はコレがちゃんと機能するのか試させて?上手く行けば、2人の遊び相手にしていいから』
「「本当に…?」」
『本当。だから、2人ともお願い?私、2人がいないと道があってるのか分からないの。だから、ね?』
と、2人の前に手を差し出す葵。
「「仕方ねぇな」」
と、手握り返すヒカヒナ。
そこで壬生狼の片割れが先導するかのように葵の前に進みでた。
葵は隣の壬生狼の、炎でできた毛をひと撫でする。
『それじゃ宜しく』
「ちゃんろ道案内しろよ」
「でないと承知しないからな」
炎は軽く喉をを鳴らし、初仕事に取り掛かった。
そして、3人は壬生狼のおかげで迷うこともなく目的地に辿り着いのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (
レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです！書いてくれてありがとうございます！続き待ってます！ (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たんぱく質 | 作成日時：2020年5月24日 19時
