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詰所の廊下を行く葵。
前方からヒカヒナを抱えた森羅が。
「「葵‼」」
「お疲れ様です」
『お疲れ様。随分、楽しそうだね?ヒカ、ヒナ』
「どこが楽しそうに見えるんだよ」
「目ん玉、引っこ抜くぞ。葵」
『おっと?汚い言葉が聞こえたぞ?』
「「げっ」」
葵がいつもの手つきを見せれば、
羅を連れて逃げ出す2人。
まったく、あの2人は…
去り際に軽く森羅と言葉を交わして
森羅が出てきた部屋の襖に手をかけた。
鴨居を潜れば、包帯を変える紺炉と紅丸。
灰の臭いがする。
炭化した兄の肩を見ると
脳裏がチリチリと焦げ付いていく。
葵はそんな事を気取られないよう
いつもの声色で口を開く
『はい、お兄』
「おっ。用意がいいな」
抑制剤の入った紙袋と、報告書を一緒に渡す。
『まぁね。修復作業は、第8のおかげもあって大体終わったよ』
「そうか。悪いな、お前にばかり負担かけちまって」
『いいよ、これが仕事だから』
紺炉の後ろに居る紅丸に視線をやる。
第8の事を口に出した途端
紅丸の機嫌が悪くなったのが分かる。
隣の芝は青く見える
森羅と言葉を交わした後なので
尚更紅丸の悪い所が目についてしまう。
労う言葉の1つ位言えないものかと、紺炉を見やる。
が、苦笑いを返されたので、やれやれと首を振った。
報告が済んだ葵は、体の向きを変えた。
が、紺炉が呼ぶので、足を止めた。
「葵」
『ん?」
「お前の目からみて、第8はどうだった?」
『そうね…』
横目で紅丸を見た。
相変わらず不機嫌そうな顔がいる。
微かだった灰の臭いが強く感じる
小さな炎が静かに勢いを増していく
葵は静かに息を吐いて、ありのままを伝えた。
『悪い人たちではないとは思う。
ウチの監督下でなら調査に協力してもいいと思う』
「そうか。まぁ、お前がそう言うなら、いい奴らなんだろな。呼び止めて悪かったな」
『いいよ、別に』
「ゆっくり休めよ」
『お兄もね』
ひらりと手を振って、畳を踏んでいく。
途中舌打ちが聞こえたが、襖の向こうに置いていく。
薄暗い廊下を行く、足が重い
流石に今日は疲れた…
鎮魂に、第8、修復作業。
色々なことが立て続けに起きた。
自室の襖を開け、畳に身を投げる。
鼻に残る灰の臭いに上書きすように、息を吸う。
古い酸素を吐き出せば、残り火が陰る。
畳の縫い目を指でなぞりながら
色々考えていると意識が途切れた。
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たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (
レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです！書いてくれてありがとうございます！続き待ってます！ (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぱく質 | 作成日時：2020年5月24日 19時
