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頭を傾けるたび、視界を占領する髪が鬱陶しい。
1日くらいならと思っていたが、流石に我慢の限界が。
部屋にため息を残して、立ちあがった紺炉。
縁側に続く廊下を行くと、縁側に腰を据えた葵がこちらに気づき、はにかむ。
『髪、下ろしてるなんて珍しいね。今日は結わないの?』
「いや、朝から髪紐をどっかやっちまてな…。葵、知らないか?」
『それっていつものやつ?』
「そうだ。藤色の」
『あっ…』
珍しく浅葱色の目が泳ぐ。
すると、申し訳なさそうな声で事情を話した葵。
『ごめんね…。あと少ししたら返せるから』
「別にいいさ」
もう一度心苦しそうに謝るので、髪を軽く撫でる。
葵の隣に腰を下ろし、横目で妹を盗み見た。
何も変わってないと思うんだがな…
不本意ではあるが先日の本題に入る。
「若と喧嘩でもしたか?」
『……はぁ?』
今度は素っ頓狂な声が。
『えっ、なんでそう思うの?』
「う〜ん、勘だな?」
『なにそれ…』
「そんな嫌そうな顔すんなって。ただ最近、あまり一緒にいないなって思ってな。
昔はいつも一緒だったろ?」
『一緒って…。あれは、紅が勝手に付いて来てただけで…』
「確かに。お前の姿が見えないと、葵はどこ行った⁉って五月蠅かったからな。
でも、そのおかげで迷子にはならなかったろ?」
『まぁ……』
痛いところを突かれた葵は、むくれた。
まぁ、葵がどこ行ったかって聞くのは今でもなんだがな
久々に年齢相応な反応をするので、若が一番気にしている事に切り込む。
「若こと、嫌いか?」
今度は沈黙が広がる。
一気に血の気が引いていく。
これを若に伝えないといけない思うと、胃痛が一層痛みを増す気が。
が、徐に葵の口が開かれた。
『ガサツな所は嫌い。あと、横柄なとこも』
予想以上の答えに、思わず苦笑いが出る。
『ただ…』
「ただ?」
遠くを眺め、紡がれる言葉。
『紅丸にはもう少し大人になって欲しいとは思う』
葵が若の事を紅丸と呼ぶのは、本当に何かあった時だけだ。
だから、これは葵の本心なのだろう
『何色も染まらず、自分を曲げない生き方は誇れる。
だけど、変わってしまう人も居る。それを理解しろとは言わなし、強要もしない。
ただそういう人も居るって知って欲しいだけ…』
だた、静かに葵の言葉を受け止めた。
きっとこの差なのだろう。
大人になった葵、子供のままの紅
これを知った若はどうするんだろうな…
力なく笑った妹を撫でてやった。
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たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (
レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです！書いてくれてありがとうございます！続き待ってます！ (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぱく質 | 作成日時：2020年5月24日 19時
