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第8話 ページ10

冴side



騒ぐマネージャーの声に搔き消されそうなほどの声量

でも不思議と耳に入った、少し高めのアルトの音


ほんの一月と少し前までは、毎日のように聞いていた

ずっと望んでいた、優しい声...




声の先は、マネージャーの後ろから

思わず肩を掴んで、押しのける


驚くマネージャーなんて気にも留められず

その先の声の主を探す





いや、探すまでもなく
彼女はそこに立っていた



珍しく小綺麗な恰好をして
右手には似つかわしくない抹茶オレ

バカ丸出しの呆けた顔

背後の無駄にでかい窓からの光でも
茶色もなにも混じらない長い黒髪



目が合って数秒か、数十秒後


そいつは嬉しそうに緑色の目を細めて小走りにこちらに駆け寄ってきた






『冴!

 久しぶり!
 日本にもどってきてたんだね


 連絡してくれればいいのに〜』






なんて呑気に言ってのけた馬鹿女

ヘラヘラ、ヘラヘラ


こっちの気も知らねーで腹が立つ


『あれ?冴?どした、の゛っ!?


 ...ぅえ?あに?(なに?)』


「...あほ面」


『へんはふってる?(喧嘩売ってる?)』


俺の片手で簡単に掴める頬



...タコみたいだな




「俺の話も聞かずに日本に戻った奴に

 わざわざ連絡なんていれるかよ」


『...怒ってるの?』


俺の手を掴んで、頬から手をどけたAは
眉を八の字に曲げる


「何とも思わねえほど薄情だとでも思ってんのか?」


『...』


「...

 お前
 こんなとこで何してんだ

 そんな恰好で」


『付き添いだよ』


「誰のだよ」


『プロジェクトのマネージャー』


「...もしかしてさっき会見してた女か」


『ああ、見たんだ

 そうだよ』


「...」


なぜか逆に機嫌を損ねたらしいAは
先ほどまでのあほ面ではなくやけに真顔だ


「なんでお前がキレてんだ」


『怒ってるのは冴でしょ』


「お前もだろ」


『私は怒ってないもん』


「...ハァ


 マネージャー
 先に車行っててくれ」


Aのことを知ってるマネージャーは逆らうこともなくこの場を後にしてくれた






「拗ねるな」


『...』


怒っているのではなく、拗ねていたようで
この言葉には何も言い返してこなかった


「俺は怒ってる

 俺の制止も聞かずにこっちに戻ったことに」


『...』


「俺との‟契約”はどうした」



冴side終了

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るあ(プロフ) - 細かくて申し訳ないんですが凜は凛です💦 (2023年4月29日 15時) (レス) @page28 id: 400c031e62 (このIDを非表示/違反報告)
SHINKAI(プロフ) - 瑠璃(Aru)さん» コメントありがとうございます!そのように言って頂いてとても嬉しいです!!中々筆が進んでいませんが、頑張って更新していきますので、これからもよろしくお願い致します。 (2023年3月26日 16時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(Aru) - こんなに面白いのになんで伸びないんだ?めっちゃ好きです。応援してます! (2023年3月21日 9時) (レス) id: cdae4ec124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINKAI | 作成日時:2023年3月9日 23時

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