エーデルワイスを君に2【HUNTER×HUNTER】 (ページ44)

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第89話ページ44

「なんでここにいんだよ！？」

『え？だってホテル取ってないし
　ゴンは怪我してるんだからキルアのところに来るのが普通でしょ？』

「なんでホテルとってねーんだよ！」

『2人がホテル取ってると思ってたの！
　個室手に入れてるなんて聞いてない！』

「はぁ！？
　(こいつどっちにしろ俺たちと寝るつもりだったのかよ！)」

『どうせ明日の試合で100階行けるだろうし、今日だけ！
　お願い！』

「〜〜〜っ

　くそ、仕方ねーな．．．」

『やったー！』

お察しの通り、宿がないAは無事キルアの部屋で泊まれることになったようだ

200階クラスにいるキルアの部屋は広く、子供2人なら十分すぎるほどのスペースがある。

「お前、他の男の部屋にホイホイ上がり込むなよ？

　俺やゴンならまだしも．．．」

『男はみんなケダモノなのよ、ってやつ？

　昔本で読んだよ』

「あ、っそ．．．
　(わかってるよーで、わかってねーんだよなぁ．．．)」

『ところでキルアはまだこのクラスで戦ってないの？』

「あー．．．今は俺も念の修行ストップしてんだ」

『ふーん(ゴンに合わせてるのか)』

「あ！」

突然声を上げたキルアに、Aは肩をびくりと揺らす
どうしたの？とソファに座ったAが聞くと、キルアは隣に腰をかけた

「Aのさ、オオカミの姿見せてよ」

『え』

「試験の時見せてくれるって言っただろ？」

『あー(そういえばそれっぽいことを言った気がする)

　よし、いいよ』

Aは座ったままのキルアの前に立ち、ゆっくりと目を瞑る

「！」

ざわり、とAの纏うオーラが揺れ、膨れ上がる

広がったオーラに、思わず目を閉じる
空気が穏やかになったのを感じ、キルアはゆっくりと目を開けた。

『．．．』

「．．．！
　A、か．．．？」

キルアの目に映ったのは1匹の狼
大型犬よりも大きく、体つきも明らかに違う

毛色と瞳の色はAと同じものだ

大きな口に、大きな耳
一本の尾が背後でゆらゆらと揺れている

獣はゆっくりとキルアに歩み寄り、足の上に顎を置き
目を見開いたままのキルアに視線を寄越す。

「スッゲェ．．．」

恐る恐る頭に手を置くと、柔らかな毛が指の隙間を埋めた

どうやら話すことはできないようだが、揺れる尻尾で感情は読み取ることができる

『．．．』