エーデルワイスを君に2【HUNTER×HUNTER】 (ページ30)

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第75話ページ30

「さて
　昨日話した念について、全て覚えておるかの？」

『い、一応．．．』

思い出して覚えてを繰り返し、結局Aは初日にして睡眠時間1時間という地獄を味わっている。
だが、そのおかげで念での知識はほぼ完璧だ。

「よろしい
　では今日はお前さんの現状をまず話そう」

『現状？』

「A、お主はもうすでに精孔が開いている状態じゃ」

『！？』

「正しく言えば
　すでに纏を習得しておる」

『は．．．いや、でも私念なんて知らなかったし
　能力者に攻撃なんてされてないと、思うけど．．．』

「A」

『は、はい』

「わしと会った日の事を、覚えておるか？」

『覚えてるよ
　私に名前をくれて、ハンターのことを教えてくれて
　人として生きる術を教えてくれた

　忘れるわけ、ない．．．』

「．．．わしもじゃ
　昨日のように覚えておる

　A、お前はあの時からすでに念に目覚めておった」

『え．．．』

「A、いいか
　今から話すことを、よーく聞くんじゃよ」

Aはゆっくりと首を縦に振った
それを見て、ネテロは話し始める

とある、一つの物語を

魔獣、珍獣、幻獣
この世界には様々な見た目に、役割を持った獣たちが多く存在する

その中で生物の頂点に君臨し、人類さえ崇めるほどの超常的存在がいる

人はそれを神獣と呼んだ

しかし人々の中で神獣の存在は御伽噺程度でしか知られておらず
時が経つにつれて人々の中からもその存在は消えていった

しかし、彼らは実在した
長い歴史の中で、彼らは生物の頂点に君臨し続けていた

だが人の暮らしが変わり、生物は移ろい、環境が崩れ
彼らの血はそれに伴うように薄れていった

『．．．』

「獣は生物にとって絶対の王じゃった
　人にとっては神のような存在

　そして、獣は特別な力を持っておった
　それが．．．念じゃ」

『．．．』

「彼らは念を生まれながらに使うことができた
　
　自然に関与するもの
　時を操るもの
　命さえも、自在に扱うものはいたそうじゃ

　しかし彼らには、絶対の誇りがあった」

『誇り．．．』

「彼らが．．．“自分が、自分であること“」

『！』

“『私が、私であることだよ』“

「彼らの一族は自らの血に誇りを持っていた
　地位も名誉も、興味などなかったんじゃろう

　ただただ、仲間を愛し、家族を愛し
　この世界を、愛しておった．．．」