第56話 ページ11
『あ、そうだ！』
「ん？」
『ゴトーさん！』
「はい、なんでしょう」
進めていた足をぴたりと止め、ゴトーに振り返ったAは大きく手を降り笑った。
『ここまでありがとうございましたー！
ゴトーさんのおかげで迷わずこれました！』
「．．．いえ、これが私の仕事ですから」
『．．．ゴトーさん
キルアのことすごく大切なんだね』
「私ども執事は雇用主に特別な感情は持ち合わせておりません」
『ふーん？
そっか！』
そしてAはまた会いましょうねー、とだけ言ってゼノの背中を再度追いかけるために地を蹴った。
「(不思議な子だ．．．
まるで心を見透かされているような気さえしてくる)」
ゴトーは執事室に戻りながら、笑うキルアを思い浮かべる
そして、その隣には先ほど会ったばかりのAの姿が、ごく自然に思い浮かべていた
『私、あなたのこと知らないんですけど．．．』
「まあ、そのうち思い出すじゃろうて」
『(なんかこの感じネテロ会長に似てるなー．．．やりづらい)』
ずっと飄々とした態度のゼノに、Aはイマイチ毒気を抜かれているようだった。
「ほれ、ついたぞ」
『ここが、キルアの家．．．デカ過ぎない？』
なんやかんやと言いながら、到着した屋敷は、まるでゲームのラスボスの城のような見た目とサイズのもので、思わずAは後ずさる。
「お前さんキルに会いにきたんじゃろ？
つれって行ってやるからついてきなされ」
『え！？
会わせてくれるんですか！？』
「そのために来たんじゃろ？」
それはそうなのだが、あまりにもあっさりとしている
しかし断る理由はもちろんないためルンルンで屋敷に足を踏み入れた。
全体的に薄暗い屋敷を進む
階段を降りるとさらに暗くなり灯りは壁についた松明のみだ。
『．．．ここは？』
わずかに血の匂いが漂う廊下
強い刺激臭も感じる
恐らく毒物だろう。
「独房じゃよ
今キルは独房で説教中じゃ」
『独房．．．』
おおよそ聞きなれない言葉ではあるが尻込みしている暇などはない
Aは懸命に足を前に踏み出し続けた。
歩いてばかりの1日の中で、今の足取りが一番重い。
「ここじゃ」
やっと着いた部屋の前
重苦しい扉をゼノさんが開けてくれた先には．．．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年8月24日 22時
