第38話 ページ40
「勝者、A！」
「ﾊーーﾊーー．．．」
『クラピカ、大丈夫？』
仰向けで倒れたまま、深く呼吸する私を覗き込むようにAが顔を覗かせた
その表情は先ほどまでとは別人で、眉を下げ心底心配している顔だった。
「．．．
ああ、大丈夫だ．．．」
未だに整わない呼吸で、何とか言葉を発する
それが逆に、彼女の心配を買ってしまったようだ
『起きて』
「え？あ、ああ」
腕をひいてくれ、ゆっくりと起き上がらせてくれたことに、礼を言おうとした時
突然、柔らかい何かに包まれた
「「「はぁぁあああああ！！！？？」」」
「．．．Aっ！？」
キルア、レオリオを筆頭に何名かの絶叫
一瞬思考が停止した私も、流石に離れようと肩を押すがびくともしない
なぜかはわからないが、目の前に膝立ちになったAが私を抱き寄せたのだ
柔らかな体に包まれ、Aの匂いが鼻腔に広がる
「っ」
女性独特の甘いものではなく、爽やかでどこか涼しげな香りだった
「(この香り、どこかで．．．)」
『クラピカ
体の力抜いて、ゆっくり深呼吸して』
「．．．」
私はただ、頭を撫でるAの手に集中しながら言われた通り呼吸をする
すると、なぜか乱れていた呼吸は徐々に落ち着き、痛みを訴えていた体が軽くなった気がした
ガンガンと響く頭痛もスーッと消えていった
そして、熱を持っていた瞳も、気づけば元通りに
ドクンドクン、と耳に届く心音が私の心も落ち着かせてくれたような気がした
そんな私に気づいたのか、Aはそっと私の体を離す
少し名残惜しいと思ったのは気のせいではないだろう
『体の調子、どう？』
「ぇ．．．あ、ああ
なぜだろうなすごく調子がいいよ」
『そっか、よかった』
「君の、力なのか？」
私の手を引いて壁際まで来たAは、曖昧な笑顔を浮かべてこう言った
『わかんない』
「そう、か．．．」
もう一度体を見ると、傷はそこにしっかりとあった
しかし体は軽い
「これなら、次も戦えるよ
ありがとう、A」
『．．．うん』
力無く笑った彼女は私の腕を取り手当てを始めてくれる
包帯を巻く間、彼女は何度も
ごめんね、痛かったよね．．．ごめんなさい
と謝っていた
そんな彼女の頭を撫でて、もう一度礼を言うと
彼女は嬉しそうに笑った
クラピカside終了
Edelweiss……
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとすごく嬉しいです！これからも作品をよろしくお願いします！ (2022年8月31日 0時) (
レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです！ (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年2月11日 4時
