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その2 ページ9

仕事終わりの一杯は格別だな、とか言うけれど、本当にそうだ。
マフィアのビルにあるあの……あれ、ポチッとしたらジャーって出てくるやつ。

いつものようにそこに行くと、先客がいた。
芥川だ。
向こうも直ぐに私に気づいた。

だが無言。

「あ、あのさあ!」

私は沈黙を切り拓くように、話し出す。

「この世界の全部に、意味ってあると思う?」

……我ながら、ちょっとおかしな話題だった。
でも彼は驚きもせず、
「あるだろう」
と一括。

ばかじゃないの。話題作ったのに。まあ変だったけど。
あんたならもっと広げられたでしょ、この話。

込み上げるものがあったが黙っていた。
すると次は彼が聞いてきた。

「……貴様は、どう思う」

出てきたカフェラテを取りだしながら。
私は答える。

「ない、と思う」

彼のようにはっきりとは言えなかったけど。

「何故?」
理由を聞かれて、困る。
こんな理由言えないよ、君には言えないよ。

「……特に、ない」
「本当か?」

彼が顔を一気に近づけてきた。
彼の顔はすぐ目の前だ。
追い詰められた。

「特にありませーん」
「……そうか………」

彼は少し切なそうに、目だけを下に向けた。
……まつ毛長すぎるんだよ。
肌白いから瞳の色が映えてすっごく顔整ってて美人で声が綺麗で落ち着く匂いがして手はひんやりしてるのに何かあったかくて、もう好きすぎて大好きすぎて死にそうなの。

思わず手で顔を覆う。

「っ…………ぅぅ………」
「何故この世に意味のないものがあると思うのだ?」

きっと私の顔だけが真っ赤で、あなたの顔は真っ白なんでしょ?
きっと少し、少しだけ、優越感に浸っているんでしょ?


「……私が貴方の事が好きなのは、ただの当たり前、で……大した意味は、ないでしょ……?」

顔を覆う手を払われ、ようやく彼の顔が見えた。
………あはは、全然くやしくなくなっちゃった



「そんな顔になるなら最初から聞くなよ、ばかだなあ」
「……五月蝿い」
「あれー、両手で顔隠しちゃってどうしたのー?」
「…………五月蝿い、黙れA」


「はいはい。龍之介くんは我が儘だなあ」


カフェラテのボタンを押して、二人でしばらく待っていた。
マーブル状のカフェラテは、私達の関係に意味がない証拠。
混ざりあっているのは、私達の関係は、ただの運命のような物だ。




*もう何も言うな、貴様が話すだけで心臓が壊れそうだ……っ

5分後に恋する文豪。-論理主義な恋人たち・冬- 太宰治→←5分後に恋する文豪。-いろ、色々- 芥川龍之介



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 朱寧   
作品ジャンル:アニメ
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Deco - 中也さんの五分後最高でした!私もこんなバレンタイン過ごして見たい…… (2018年12月16日 15時) (レス) id: 9c8b9058f8 (このIDを非表示/違反報告)
乱歩君大好き人間(プロフ) - 5分後シリーズ全巻持ってます(自慢) (2018年10月10日 22時) (レス) id: 890e7ee745 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱寧 x他1人 | 作成日時:2018年8月19日 10時

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