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むしゃむしゃと大人しく朝食か昼食か夕食かを食べていると、外から大きな音がした。
テーブルに急いで皿をのせ、背筋を伸ばせば、シャッとカーテンが開かれた。
そこから何か私目掛けて跳んでくる。
早すぎて残像しか見えない気がする。
『無事なんかっ！？』
「ッ無事です！」
大きく脳に響いた声に反射的に大きな声で返答すれば、後ろからカラカラと笑い声が聞こえてくる。
…病院なのにやってしまった。
私の上に綺麗に着地した犬は、コネシマ。我が家の居候。
その巨体にしてはとても軽く、身構えるほどのことではなかった。
あんなに動いたにも関わらず首にかけられている数個の鈴は音一つ出さなかった。
尻尾は威嚇するかの如く、先端にある鉄の玩具なんか気にさずピンッと天を指している。
後ろで笑ったのはしんぺい神らしく、カーテンを開けたまま入ってくる。
ベッドの端に腰をおろし、此方を見据える。
彼の顔は面によってうまい具合に見えない。
彼が自分の意志で面を外さない限り、それは永久に貼り付いて放さないような、そんな感じがする。
「だいじょーぶだよ、俺に診断しにきた人は診断中は絶対事切れ無い。」
『…だから危ないんやろ』
「え〜、だって俺の前で勝手に倒れてくのみたくないし」
コネシマは私を護るように姿勢を低くして、しんぺい神を睨みあげる。
彼等は何か面識があるようだった。
それを見て本当にコネシマが私をここに連れてきたのかと疑問を持てば、コネシマはそれに気づいたのか偶々か、ポロリと言った。
『お前に頼んだんは観察だけや』
「…そりゃ、契約ですから。俺が主さんのためにと診断しても何も意味をなさないよ」
しんぺい神は腰を引きずって私に近づき、髪をクルクルと巻き始める。
それを直様コネシマが叩いた。
しんぺい神の弾かれた手は、何処にいけばいいのかと、宙で止まった。
私はその手を握る。
もう一方の腕でコネシマを宥めるようにフサフサの体を撫でる。
「落ち着いて、、しんぺい神さんも私を診ていてくれてありがとう、ございます…」
『う"うぅ、、ぁう"』
「っ、、何か率直に言われると申し訳なく思うよ、こちらこそありがとう」
コネシマは私の腕の中におさまり、捻り声を上げる。
ただ、暴れることはなくしんぺい神を睨むだけで落ち着いてくれた。
しんぺい神は私の手をとり、手の平に彼の長い爪で何かを描いた。
一般人は入ってはいけないような神聖な雰囲気が漂う。
「ん…いつでもみてあげるね」
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