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「寒い？」
『、主様は暖かい、、です』
縋るように私の身体にまわされた尻尾や足や手や云々が、シャオロンの冷たさを私に伝えてくる。
彼の体毛は温かそうに見えていたが実際そうではなかった。
暫く扉の前で、一人と一匹が抱き合っていた。
周りから不審な目で見られていても諦めがついていたが、そんなことはなく目線一つ私達に向いていなかった。
ものの影にはなっていたが、誰かに見られていると思ったのに。
意外性と恐怖心が私をサッと煽った。
シャオロンをそろそろ頃合いだと離そうとすれば、タイミングよく声が聞こえた。
よく通る可愛らしい声ではあったが、それに陽気さはなくズブリと沼に沈んだような深さをもっていた。
「…何抱き合ってんねん、アルジにシャオロン」
フワフワと羽毛が視界に入り、熱っぽさが身体に通じてくる。
白い羽毛は視界一面に拡がり、外の景色が見えないほどに囲まれた。
シャオロンとの温度差に体は驚いたのか、感覚が麻痺した状態に陥る。
ハッと気づいたときには熱い熱いと神経がそれしか感じていなかった。
シャオロンの怒気を含んだ声が聞こえた。
あ、眠い。寝れそう。
寝ては駄目だと指先を抓れば、それさえも羽毛に包まれた。
暗いが怖さはないし、謎の包容力を感じるほど暖かい。
違う！暖かいなんてものじゃない…感覚が狂ってきた。
『おい、離せやクソ黒鶏が…』
「酷いめぅ〜。…散々愛してもらったんに、まだ求めるん？平等なんてもんやないで」
子守唄並に穏やかな声は、シャオロンに牙を向けていた。
静かに開けた目。
パチパチと瞬きを繰り返してから周りを見渡せば、私の見に覚えがない白い布団で寝ていることに気づいた。
白いフローリングの壁が碧色のカーテンによって途切れていた。
あれ、どこだろう。
意識が覚醒してこれば、ベッチャリと濡れた自分の服に気づいて慌てて上半身を起こす。
夢見は特に悪くなかったと思うんだけど…
すると、ガチャリと扉の開閉音が聞こえ、スッと身を固める。
足音は此方に近づいてきて、カーテンを優しく開けた。
奇妙なことに入ってきた人は、白衣を着物の上からザッと着て、お面のような紙のような神とかかれたもので顔を隠していた。
医者、なのだろうか。
「あぁ、起きたんだ。体調は悪くない？」
「ぇ、、は、はい」
「うん、大丈夫そうだね」
フワフワと見た目によらず、可愛らしい声をだす人はカルテを片手に私を見た(見ていると思う)。
それから、一つ頷いた。
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