恋と笑いは紙一重２【芸人短編集】

ウチの旦那様 【スーパーマラドーナ 田中】 ページ22

きーやんさんのリクエストです。





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『一彦ぉぉおお!!!てめっ、まぁたお笑いの仕事ほっぽり出して武智くんに迷惑かけただろおおぉおお!!!』


田中｢ぎゃあああ!!!すみませんんん！明日からはちゃんと仕事出ます！出ますから今日は勘弁して下さいいいぃい!!!｣


『前もそう言って仕事出てったら1日コンビニでフラフラしてて周りの人に不審がられて警察に補導されたんでしょうが!!』


田｢次はちゃんと出ますから！この通りっ！｣


武智｢お前ら立場普通逆やろ。｣






一彦の襟を掴む私に、それに怯える一彦。そしてすかさずツッコミを入れる武智さんとで目が合う。わたしは『まったく』というように手を離した。




『絶対明日からは仕事してよねっ。ただでさえ今のウチの家計じゃやってき辛いんだから。』


武「もう奥さんに迷惑かけんなよ。旦那がだらしない。」


田「すいません…。」





一彦は苦笑いをしながら、ポリポリと頭をかいて立ち上がった。私と武智さんは大きなため息をつく。こんな旦那さんなんてそうそう居ないだろうな。そう思っていると、武智さんが私に話しかけてきた。





武「なぁ。お前よぉこんな男と結婚したなぁ。どこが良かったんや。」


『どこって言われても……。』





私は頭の中で考える。元々私が憧れてた旦那はバリバリ仕事が出来て男らしい人だった。なのに本当の旦那はどうだろう。仕事なんて抜け出して、男らしいトコなんて微塵もない。



でも、私は思い出す。私が体調が悪いと電話すると、すぐに飛んで来てくれる一彦。お年寄りが電車で立っていると、席を譲ってあげる一彦。いつもそこには、優しくて誰かを思っている一彦がいた。






『優しいから……かな。』


武「何やそれ。まぁ、誰に惚れるかはそいつに会うまで分からんからな。好きなタイプとかは当てにならんって言うし。 」


田「僕もね！Aちゃんに初めて会った時可愛いなぁって、優しそうだなぁってそう思ったんだよね!!今の姿を見れば詐欺レベルですけど。」


武「『黙らっしゃい。』」









頼りなくって、いつもヘラっと笑っている貴方。




そんな旦那さんも
ありなのかもしれないな。

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