【銀魂】昔馴染みと白夜叉と【坂田銀時】 (ページ1)

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ぷろろーぐページ1

ぴゅぅっと北風が吹くと誰もが背筋を震わせる師走の月。年末が近くなったということもあってか、江戸の町は随分と賑わいを見せていた

どこを見渡しても人々が寒さから身を守るように縮こまって街を練り歩き、正月の準備に花を咲かせている。この時期になると地球人も天人も妙に気分が良くなり、街も活気づくのだ

そんな中、一段と賑わいを見せるのはかぶき町のど真ん中にある庶民的スーパー「大江戸マート」だった。年に一度、師走の第二日曜日に行われる「大江戸マート大感謝祭」では半額シールが貼られた黒毛和牛を争う叔母ちゃん達の壮絶な戦いが繰り広げられる

そして今年も例年と変わらず、スーパー中から怒号が飛び交うのだった

「ちょっとあんた！その牛はアタシが先に取ったんだよ！さっさと渡しなさいよ！」

「何言ってんのよ黒ブタみたいな顔して！黒ブタは大人しく家に帰って鍋ん中に入ってな！」

「鳥顔に黒ブタ呼ばわりされたかないわよ！」

「あんだってェ！？((「どけどけぇーーい！！」

「ｸﾞﾊｧｯ!!」

取っ組み合いをしていた叔母ちゃん二人組が勢いよくぶっ飛ばされたその瞬間、店中の半額シールが貼られた黒毛和牛のタッパーは天高くその手に掲げられた

「黒毛和牛取ったどーーー！！！」

「よーし、よくやったぞ神楽。これでお登勢のババァも正月にすき焼き食って気分良く天に召されらぁ」

「勝手にお登勢さん殺さないでください」

万事屋の正月準備はこうして始まるのだった

・

どんちゃん騒ぎで賑わうかぶき町を一人シタシタと編笠を深く被って歩く

ここが世界の……いや、宇宙の中心、江戸か

山奥の田舎と違って澄んだ空気ではないが、人あたりの良さそうな町人ばかりで心做しか気分が弾む

「銀時…、本当にこの町にいるのね」

ぼそっと呟いたその声は町の活気の中に消えていった