恋と笑いは紙一重６【芸人短編集】

今日くらい 【かまいたち 濱家】 ページ26

のあさんのリクエストです。








・


隆一くんが布団に寝ながら思い咳をする。私はその隣に座って、見守ることしか出来なかった。




濱家｢つらっ…。｣


『なんやしてほしいことある？』


濱｢ええよ…、なんもせぇへんでも……。｣


『今日は寝て、明日また元気になってな。』





隆一くんの頭を優しく撫でて、額にじわりと浮かんでいた汗を、濡れたタオルで拭きとった。私が代われるものなら代わってあげたいんやけどね…。





濱｢メシ…、腹減った……。｣


『ほなら、お粥温めて持って来るな。』





隆一くんの元を離れて台所へと歩き、小さな鍋に入ったお粥をガスコンロで温める。それをお椀に移して、隆一くんを起こす。





『はい、自分で食べれる？』


濱｢食べれる…。やけど、食べさせてくれへん？｣


『えぇ、自分で食べれるんなら食べればええやんかぁ。』


濱｢今日くらいええやろ。な？頼む。｣


『……今日だけな。』


濱｢ありがとう。｣






隆一くんの口元にスプーンを持っていくと、それを口に入れて一言｢旨いなぁ｣と言ってから、私の頬にキスをした。





『え、ちょ……。今…。』


濱｢ええやんか、今日くらい。｣


『"今日だけ"でも許されるモンと許されへんモンがあるんや。』


濱｢すんませーん。｣


『風邪伝染ったらどうしてくれんねんっ。』





口先では怒っていても、
全然怒る気にはなれなかった。


隆一くんの風邪なら、伝染ってもええかな。
なんて。



今日しか言われへんわがまま。

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