67-どこにも行かないで ページ18
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凪誠士郎視点
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浮気してたし、なんて言ったけど別に俺とAは付き合っているわけではない。
浮気ならレオの方だ。レオには彼女いるし。……まだレオには彼女がいるから、と油断していた。Aを奪おうとするなんて思ってなかった。
こりゃ時間の問題かな……、と柄にもなく焦り始めている自分がいた。
「A」
「ハイ、何でしょう」
「……なんでそんな畏まってんの」
「なんとなく。どうしたの？」
「____Aは俺の隣にいてね」
偽物の関係で縛って、言葉でも彼女を縛ろうとする。
好きだと真正面から言えない代わりに呪いをかける。
Aは何も言わず、ただ微笑み返してくれた。
どこか憂いの帯びた切ない表情に息を飲んで見惚れる。と同時に、静かに消えてしまいそうな彼女に縋り付くように手を伸ばしてその細い肩を抱き締めた。この温もりを体に染み込ませるように。
どこにも行かないで。
俺を見て。
この関係がずっと続くことはないと分かっている。でも、もう少し、あと少しだけでいいから……。
＊
＊
＊
そろそろ部活が始まる時間。面倒くさいな、早く帰りたいと思いつつ、渋々グラウンドに向かう。俺より先に部活に行くと言っていたはずのレオは1番最後にグラウンドに来た。いつもは早く練習を始めたくて仕方ないという顔をしているのに、今は神妙な面持ちをしている。
さすがにスルーするわけにもいかず、座り込んでスパイクの紐を調整しているレオに「遅かったじゃん。なんかあったの」と尋ねてみる。
レオは小さく口を開いて言った。
「……別れ話してきた」
「え」
「彼女と別れた」
「……なんで、」
「ちょっと気持ちの整理つけようと思って。……まあ、そんな感じ」
そう語る瞳はジャグを両手で一生懸命運ぶAの姿を追っていて。立ち上がったと思えば、彼はAの元へ行きジャグを奪ってしまう。
「玲王……？」
「持ってくよ」
「え、悪いって！」
「いーから」
「……ありがとう」
これは本当に時間の問題だ、と痛む心臓を抑える。
もしレオがAへの気持ちを自覚してしまったら、……。
面倒くさいことになってきたな、と思うのに。面倒くさいと思っても止められないのは、Aの隣にいる幸せを知ってしまったから。
彼女の隣は絶対に渡さない。
俺の方からAを手離すことなどは絶対にないと、
まだこの時は思っていた。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
