17-ずっと好き ページ17
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いきなり上半身を起こして声を張ってしまったせいで「ケホッ、」と何度か咳き込む凪くん。そうだ、ぽかりも買ってきたんだ。テーブルの上にあるそれを取りに行きたいけど、がっしりと手首を掴まれていて動けない。
凪くんの手のひらは、熱い。
「大丈夫?今飲み物取ってくるから」
「いらない、だからここにいて」
辛そうな掠れた声で答えられて、やっぱり水分補給した方がいいんじゃないかって判断する。
彼の為を想って心を鬼にして「すぐ取ってくるからね」と腕を振り払えば、「っやだ。やっと会えたのに」とベットから降りて追いかけてくる。
「凪くん……」
「Aがどこにも行かないように、手ぇ繋いどく」
熱で精神が不安定になっているのだろうか。
必死な様子で私の手を握る彼に「大丈夫。私はどこにも行かないよ」と言えば、ホッとしたように緊張を緩ませていた。
離れるのは無理だと思い直し、凪くんを支えながら一緒に移動する。凪くんは椅子に座ってもらって、私は袋からぽかりを取り出す。ペットボトルの蓋を開ける瞬間だけ手を離してもらって、それが終わるとまたすぐに手を握られた。
ぽかりを渡せば、やはり喉に潤いが欲しかったのか勢いよく飲み干していった。中身が半分程になったペットボトルをテーブルに置き、俯いた凪くんは口を開く。
「今って何月何日、……だっけ」
「6月8日だよ」
「そ、うだったね……。……もうすぐ、Aの誕生日か」
「うん……」
6月10日はもう少し。
その日を凪くんの命日になんてさせない。絶対。……絶対に。
「A、俺のこと好き?」
俯いていた凪くんが顔を上げてこっちを見たと思えば、不安げな色の瞳をして尋ねてきて。再会してから沢山伝えてきたけど、何度だって伝えたい。
手を握る手に力を込めて言う。
「大好きだよ」
「…」
「この先もずっとずっと、凪くんだけが大好き」
「…」
私の返事を受けて唇をきゅっと真一文字に結ぶと、また俯いてしまう。
私の返事、重すぎて引いちゃった?
と一瞬焦ったが、杞憂だった。
言葉を失う。
凪くんが静かに左目から涙を零していたのだ。
……凪くんが泣いているところなんて初めて見た。
黙ってただただ涙を流す姿があまりに綺麗で、思わず見惚れてしまう。
服の袖で涙を拭うとまた名前を呼ばれる。
「俺も、好きだから」
「うん」
「今も、7年後も、その先も……ずっと」
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はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - +...?葵*一等星?....+さん» いつもお読みくださりありがとうございます!☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます! (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
+...?葵*一等星?....+(プロフ) - いつも読ませて頂いています!この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます! (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2023年1月11日 23時