118-やっぱり応援できない ページ20
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佐藤さんは棘のないおっとりとした口調で続ける。
「一生懸命、恋してるんだね」
「…」
「じゃあ、やっぱり玲王くんとは付き合わないんだ」
「うん。こんな気持ちで付き合うのは失礼だから」
「んー。誠士郎くんとは今はどんな感じなの？」
「ほぼ必要最低限の会話はするくらいかな……。多分、避けられてるんだと思う。凪くんにとって私はいなくても変わらない存在なんだよね」
「そんなことないと思うけどなー」
ただの慰めだと分かっているけど、佐藤さんの穏やかな雰囲気にあてられて話をするのは居心地が良かった。
不意に視線に入る、砂浜で身を寄せ合って幸せそうに過ごしているカップル。連想して脳裏に過るのは、ビショップ博物館で一緒に行動していた凪くんと真凜の姿。
思い出すだけで胸にズキリと刃物に刺されたみたいな痛みが走る。そうして零れ落ちる本音。
「こんなこと思っても仕方ないのかもしれないけど、私本当は、凪くんと一緒に修学旅行回りたかった。……凪くんの隣にいるのは私がよかった」
「うんうん、そうだよねぇ」
自分勝手なことを言っていると自覚しているのに、相槌があまりにも優しくてどんどん目尻に涙が溜まっていく。堪えきれなくなって体育座りした膝に顔を埋めながら吐露する。
「……っなぎくんの恋を応援してあげたいのに、応援するって決めたのに、できない……。凪くんと前みたいに楽しく話したいっ。____もういっそ、凪くんのことは諦めたい……」
諦められたら、絶対に楽なのに。
潮風に触れた涙はやけにしょっぱく感じた。生温い雫が膝の上に滑り落ちていく。佐藤さんは私の方に近寄り、背中をポンポンと安心するリズムで叩いてくれた。
「……私がね。元カレと別れた時はね、自然と『ああ、もう終わりなんだな』って悟る瞬間があったんだ。その時はもう普通に諦めがついたの。諦めることを受け入れた。諦めたいとか思う以前に。それって多分、気持ちがなくなっていたからできたことだと思うんだよね」
ポンッと少しだけ強く背中が叩かれる。
「Aちゃんはまだ、誠士郎くんが大好きなんでしょ？諦められてないんでしょ？____だったらまだ、諦めちゃダメだよ。諦めたいくらい好きなら、まだ諦めちゃダメ」
諦めて楽になりたかった。
諦める方法を探していた。
でも、佐藤さんに背中を押してもらって気づけた。
本当は、諦めなくていい理由を探していたんだ。
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飴玉(プロフ) - ほんと素敵なお話ありがとうございました😭一つ一つの表現の仕方が切なくてなんかすごく刺さるものがあった小説でした！！初めてこんなに夢小説にハマりました！続気も書いてくださるとは…めっちゃ嬉しいです。これからも活動応援してます✊🏻´‐ (2023年3月17日 23時) (
レス) @page50 id: 6166c70364 (このIDを非表示/違反報告)
かい - わー！おめでとうございます！！社会人編があるなんて！？楽しみしてます！ありがとうございます！！ (2023年3月16日 19時) (レス) @page47 id: 4d5241d02c (このIDを非表示/違反報告)
沈みゆく佐藤。(プロフ) - 下睫毛さんとの意味深なフラグ回収はありがたい。主様の作品は切なくてさっぱりしてるところ夢小説にはあまりない現実に近しいかんじがとても好きです。社会人編では下睫毛さんとの絡みに期待ですね!! (2023年3月15日 17時) (レス) @page47 id: 4118c67c05 (このIDを非表示/違反報告)
マユリ(プロフ) - 完結おめでとう&お疲れ様です♡失礼ながら最近気づいたのです…推し検索して1話読んで気に入ったらお気に入り登録するのですが、主様の作品全部登録してました(*pωq*)根っからのファンみたいですwwwこれからも応援してます♡ (2023年3月15日 1時) (レス) @page47 id: 7b9abdf20f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 完結おめでとうございます！！毎日更新を楽しみにしていた作品が一時的に（？）終わってしまったのは悲しいですが心の支えになってました！また楽しみにしています！ (2023年3月15日 1時) (レス) @page47 id: b983e74723 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年2月13日 19時
